第4回 Françoise Hardy「Comment Te Dire Adieu」その1. 原語英語版からヒット曲仏語版へ

 

https://youtu.be/TPv1oHq94dY?list=RDTPv1oHq94dY

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1966年発売の「It Hurts To Say Good-bye」(Margaret Whiting版)、アルバム「The Wheel of Hurt」に収められた1曲、ピアノ3連符連打で味付けされゆったりっしとたラブ・バラードが「Comment Te Dire Adieux」の原曲となった。


フランソワーズ・アルディ(Françoise Hardy)の1968年ヒット曲「Comment Te Dire Adieux」の原曲をたどっていたら、色々なことが分かってきた。この英語版原曲をフランス語版に翻案するに際し、アルディ自身も色々希望を出して、フランス語の訳詞をセルジュ・ゲインスブール(Serge Gainsbourg)に依頼したのだ。あの、挑発者(provocateur)のお騒がせ者にして、奇才・天才でもある作詞家にだ。

彼自身も作詞・作曲・編曲を手掛けるから、アルディの魅力を生かしてこの曲の詞を完成させた。詳細については、続きの項で述べたい。


マーガレット・ホワイティング(デトロイト生まれのアメリカ人歌手)の原曲は、ゆったりとした4ビートのラブ・バラードで、2拍と4拍にリズムのインパクトを置くジャズ・テイストで、朗々と歌い上げるタイプの曲調だ。ダスティ・スプリングフィールド(Dusty Springfield)やブレンダ・リー(Brenda Lee)のように、歌唱力に秀で声量のある歌手向きの歌と言える。

”恋人の彼と別れるのは、とてもつらいわ!” と切々と歌う内容なので、邦題も「別れるのはつらいわ」位が妥当と思うが、なぜか「さよならを教えて」(アルディ版と同じ)となっている(?)。この曲調は、翌年(1967年)この曲をカバーしたベラ・リン(Vera Lynn・イギリス人歌手)にも受け継がれて、よりドラマチックに歌ったバージョンは、ビルボードのヒットチャートでトップ10入りを果たすなどスマッシュヒット曲となった。


https://youtu.be/UhzQ_cIHhgY?list=RDUhzQ_cIHhgY

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1967年(Hardy版発売の1年前)、ブラジルのボサノヴァ・オルガニスト:ウォルターワンダレイ(Walter Wanderlay)によるインスツルメンタル曲「It Hurts To Say Good-bye」、アルバム「Batucada」の収録曲。


ワンダレイのオルガン版は、歯切れの良いスタッカート奏法と、シンコペーションするボサノヴァ・リズムで、原曲の雰囲気を一変させた。間奏のアドリブ演奏も原曲のメロディラインを変化させて、自在で多彩な曲調を作り出している。特にイントロのメロディライン : ♬ ラッラッラ レッレーラ ♬ と、コーラス・エンドの ♪チャ・チャ・チャッ♪は、仏語版のアレンジにも大いに影響を与えたと思われる。このバージョンを、アルディ(あるいはゲインスブール)が知って仏語版に取り入れた可能性は大だ。仏語版WIKIにもそんな記述はあるが. . .

その辺りについては、諸説が溢れている。その①は、この曲の作詞・作曲者(Arnold Goland とJack Gold)の一人であるJ.ゴールドが、自ら率いたオーケストラ(The Jack Gold Orchestra &Chorus)で歌入り演奏したこの曲のバージョンが、仏語アルディ版に影響を与えたと言う説だ(下はジャケット・カバー)。



https://youtu.be/WdE9VkFJ-RY?list=RDUhzQ_cIHhgY

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ラテンリズムに乗ったオーケストラ演奏と英語のコーラスが、イージーリスニング風の味付けになっているが、アルバムの発売が1969年4月30日・Sony Music  Entertainmentである。仏語アルディ版(1968年)の後なので、このバージョンをアルディが参考にしたというのは無理がある。

同様にその②イージーリスニングのカラベリ(Caravelli)オーケストラに影響されたという説だ。1969年発売のアルバム「Eloise」にこの曲のカバー版が収録されているが、軽快なジャズアレンジで金管のメロディとオブリガードが良く効いている。しかし、発売年がアルデイ版の後である。


https://youtu.be/QQ5RfHTsfWU?list=RDQQ5RfHTsfWU

ワンダレイのボサノヴァ・バージョンと共に、アルディ版の元となったアーノルド・ゴーランドのインストルメンタル曲「It Hurts To  Say Goodbye」シングルCD(1967年発表非売品)を、後年(2003年)収録した「Hotel BYBROS St. Tropez since 1967」のアルバムカバー。上のタイトルを指定右クリックすると動画が見られます。


作曲者自らが編曲してオーケストラでインスト曲を発表したのは、放送局や各種施設でのBGM的な需要があったのだろう。ただ、M. ホワイティングの原曲からすると、随分ビートの効いたリズムカルなアレンジだ。特に、イントロのEl.ベースとドラムの切れのいいリズム、そしてEl.ベース印象的なメロディはボサノヴァのシンコペーションを取り入れている。また、主旋律の金管(トランペット)とバックのオーケストラ・ストリングスとの調和も良く奏でられている。


アルディは9枚目のアルバムを作成するに際し、オリジナル曲と共に外国歌手のカバー曲を数曲探していたが、この「It Hurts To Say Goodbye」がその1曲となった。

〈 この項続く 〉


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