2011年3月28日月曜日

ツバキ咲く、春なのに...


これで満開の゛侘助椿゛、半開きの花を樹の枝々一杯に咲かせる。 神代植物園にて All Phot by TAKA
椿咲く春なのに、お彼岸を過ぎても桜が開花しない寒い日が続いている。例年だと、多少の早い遅いあっても、小枝の先に可憐な小花を連ねる雪柳が咲く頃には、ソメイヨシノと一緒にその白い花を楽しめるのだが、今年の桜は4月に入ってからになるかもしれない。

椿咲く春なのに、被災地の復興は遅々として進まず、原発事故の処理も右往左往するばかりで、仕事のできない管首相と官僚達を首長に持つわれわれ国民の怒りとイライラは募るばかりだ。でも、被災地の人たちのご苦労を思い、自分にできることをやるしかない、と思って日々暮らしてはいるが...

とはいえ、季節は確実に動いていて、白木蓮は白い花弁を天に向かって花開き始めたし、黄色のサンシュユや土佐ミズキ(or日向ミズキ)も開花し、白と薄紅の馬酔木も小さな鈴を束ねたような小花を見せ始めている。大震災による人々の記憶の空白の中で、自然はその営みを止めることはない。ただ、人は何かに想いをとらわれている時、意識が向かわないものがあるのだ。
咲き始めは美しく、朽ちると無残な白木蓮の花、美しく散ることはさほどに難しいものか?(左・狛江周辺にて)/ 放恣に拡がる枝先にびっしりと花をつける雪柳、私は伸びやかに咲くこの花が好きだ(下・成城学園で)。

♪椿咲く、春なのに~♪(釜山港へ帰れ)...なぜかこのメロディに誘われて、また神代植物園に来てしまった。ここの椿園は種類も豊富で、様々な椿の花を見ることができる。桜の古木を訊ねて、東北・関東・東海地区を訪ね回ったり、都内や関東周辺の花名所を訪れることを楽しみに゛花旅゛をここ10数年してきているが、今年は、なるべく節電とエネルギー消費の少ない行動をと思い、また例の電動チャリでの移動で近場の楽しみを選んだ。










 

そこで、椿の話だが、椿と言えば゛深紅の花弁に黄色の花芯゛というヤブツバキ系の花を想い描く方が多いと思うが、八重咲き:宝合(たからあわせ・左)と一重咲き:玉霞(たまかすみ・右)は艶やかな紅白絞りの種類だ。開くと紅白の斑模様が大柄で、すっきりとした健康美人のような宝合と、大き目の蕾が開いても花が円みを帯びていて、モダンで細かな紅白柄の着物を付けた熟女のような玉霞...ともに、咲いていても花弁の傷みや変色が少ないのも珍しい種類だ。
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花写真を撮るとき、私は光と影やカメラのアングルなどに気を使うのはもちろんだが、やはりその花が語りかけてくる言葉に耳を傾ける。「わたしは、ここが一番きれいなのよ!」という花の声が聞えた時にシャッターを切る。この日も約2時間ほど椿園の中で花を見て過ごしたが、撮ったのは50ショット程でさほど多くはない。椿の花は横向きか下向きに咲くので、時折イナバウァー状態となる(上を仰いでの撮影ということ)。花弁の傷み具合や開き加減等で、ファインダーを覗いてみたが撮らなかったものも多い。花は開いた時から朽ちていく宿命を背負っている、否と言うより、生命の開花はすでに死を内包している、とも言えよう。ちょっと哲学的に気取ってみたが、要するに傷みもなく朽ちもない美しい花姿に会えるのは、稀有のチャンスなのだと言いたいのだ。
バラの花にも似た深紅の赤角倉、木洩れ日が当たっていっそう鮮やかだった(上)。

 



 銀竜(ギンリュウ:カンツバキ系)は、花開くと花弁がやや波打つような不思議な質感を持っている。純白の花色は白椿の中でも出色のものだ(上左)。片や、ユキツバキ系の雪子町(上右)は、柔らかな肌色のような白だ。木陰でひっそりと咲く様は、陰影に富んでいてともにこころ惹かれる。

【 追記 】
昨夜(3/29)の「かようかい」の折、店主の茂子さんと椿花の話しをしていたら、帰り際にお土産で部屋に飾ってと、店前に植わっている椿の花枝を切って頂いた。「椿珈琲店」というお店の名前の由来は、店の入り口に紅椿と白椿が一本づつ門構えのように植えてあることから来ているのだが、いただいた花枝を家で生けてみた。ほんのり薄紅色が差した白椿をしばらくの間、机の横に見て過ごすことになる。

永らく私は、椿の花をよく見る気持ちになれないでいた。というのは、夏場の百日紅や冬の山茶花のように、2~3ヶ月に渡って次々と花を咲かせ続ける類の花には興味が湧かなかったと言ってもいい。あまりの生命力の強さに、「花の命は短し」をモットーとする私の花好みから漏れていたのだ。しかし、この春は少し椿を見ることができた。
昨日今日の温かさで、都内の桜の開花も伝えられた。ようやく春到来だ。


2011年3月19日土曜日

新曲「ときめきの夜」は、かようかいのうた、として誕生

東北・関東大震災で亡くなられた方たちのご冥福を祈り、
被災された方たちの一日も早い復興をお祈りします。
東日本の大規模地震と太平洋沿岸の大津波による未曾有の大惨事発生から一週間が過ぎた。被災地の悲惨な状況と福島原発の放射能事故、関東地方の計画停電、首都圏交通網のマヒ、ガソリンの買占め、食料品や防災品の買占め...天災による平安な日常を破られた人々の暮らしは、一時パニックに陥ったが、徐々に落ち着きを取り戻しつつある。しかし、被災地では長く厳しい復興への日々が待ち受けている。
今私にできることは何か? を絶えず考えながら暮らしていこうと思っている。幸い郊外の狛江に住む私の足は自転車だし、地域サービスの仕事は自宅周辺を廻るのみなので交通の影響は少ない。この一週間、食料品を含む買い物はほとんどしなかった。お米や乾麺・スパゲッティなどの買い置きはあるし、味噌・醤油などの調味料もあるので、調理して食べれば1~2週間は食べつなげる。万一の停電に備えて、今日近くのホームセンターで懐中電灯1本(500円)だけ買った。食品スーパーの安価なパンやインスタント食品の棚が空っぽなのに反して、果物・野菜や魚介類は充分にある。ガソリンスタンドに並ぶ長い車の列で、午前中にはガソリン売り切れで店は閉まってしまう。
TVの報道による被災地の物不足を見て不安を増大させたのか、被災地でもない各地の人たちが浮き足立って買占めに走った。今、本当に物資が必要なのは何処なのか、冷静に考えてほしい。もう少し落ち着いて、手持ちのものを工夫してしのいでゆく知恵を出してほしいものだ。長く平和で豊かな(贅沢で食品を大切にしない)生活にどっぷり浸っていた付けが廻ってきたとも言える。
節電に心がけること:一箇所集中暖房や下着・靴下重ね着で弱めの暖房、元栓を小まめに切ったり早目の就寝、等々、思いつくことは何でもやってみる。それが被災地への支援につながる。
被災地への具体的支援:当面現地までボランティアに行く事はできないし、余分なものをほとんど持たない私は、義援金などの効果的な方法で支援したいと思う。
さて、オリジナル新曲についてである。タイトルは「ときめきの夜」、今回は、詞・曲ともTAKAによる。椿珈琲店の゛かようかい゛(2011/01/17 の項参照)の折、音友ウッチーが「タカちゃん、なんか゛かようかい゛の歌を作れない?」と投げかけてきたが、ほろ酔いだった本人はそのことを覚えてはいない! 音楽好きな人たちが皆集まって楽しむ時に、何か一緒に歌える歌があればいいなぁ、と前から感じていた私は、ひとつ作ってみるかと思った。

(この譜面は、画像をクリックすると拡大して見られます)

詞は割合すんなりとできた。まあ、普段お店でみんなとワイワイ楽しんでいるところを描いたのでイメージがすぐ湧いた。しかし、私もミュージシャンの端くれ、歌詞には仕掛けが施してある。これは後日皆に推測して当ててもらい、当選者には、極上の酒を一杯私から進呈した。当てたのは、トランペッター吹きのSTさん、彼は名脇役として「踊る大捜査線」の秋山副署長役などでおなじみの性格俳優でもある。実は、歌詞の縦軸に『つうばあきい かようかい』と読み込んであるのだが、その後お店で何度か歌ううちに、一部手直しをしたので、部分的に詞を差し替えてはいる。
しかし、何の前触れもなく初めてこの歌をお店で歌った時は、まったく反応がなかった。前作「あなたの側で」とはえらい違い様だった。がっかりした私は、この歌はもうお蔵にしようか、と思ったほどだ。前作の「あなたの側で」以来、私の歌作りは舵取りが変わって来ているのを自身で感じている。それはどういう事かというと、「Heart On Heart」にしろ「シマフクロウとルリタテハ」にしろ、また「One Side Love」にしろ、それまでの歌は、まず私の伝えたいメッセージが先にあり、詞とメロディを通して私の想いをどう表現するかにウェイトが掛かっていた、と言う事だ。「シマフクロウと~」は、弾き語りで12分にもなる叙事詩だし、「Heart On ~」も6分と長い。ある意味で、自分の想いが溢れすぎていたのかもしれない。
それに対して、「あなたの側で」は、詞もメロディも簡潔でわかりやすい。誰にでも歌える曲になっている。ウッチーも戸上マスターも、この曲の良さを言ってくれるし、何度かライブで披露した時もお褒めをいただいている。「ときめきの夜」もスタンスとしてはその延長線上にある。この曲を作りながら、私のイメージの中には、『ハ~ィ! ご機嫌なリズムだね! 』と言いながら歌い演奏するサンタナのメンバー達の楽しい姿があった。だから曲調は「Oye Commo Va(僕のリズムを聴いてくれ)」の弾むようなラテン・リズムがべースになっているのだ。
゛かようかい゛の反応に気落ちはしたが、この曲に込めた私の想いはあきらめきれず、何度かソロライブをしている荻窪のアルカフェでショート・ライブ(1人4曲)の折にこの歌を唄ってみた。ただし、~♪かようかい♪~の部分は、~♪アルカフェ♪~としてお店の名前を織りこんでみた。店主の佐々木さんも喜んでくれ、来場者(ほとんど出演のミュージシャン達)も大きな拍手だった。そこで私はハッと気がついたのだが、この歌は、ある固有のお店に集まる音楽好きの人たちのために書いたのだが、他のライブハウスでもホールでも゛歌と演奏を楽しむ人たちが集まるところ゛であれば場所を選ばないのではないか? と言う事だった。また、2節目に「♪うつくしい椿の花のよう♪~」とあるが、季節が変われば、「♪桜の花吹雪♪~」でもいいし、「菖蒲かカキツバタ」でもいいし、つまり一年中花を織り込んで歌える! ということができる訳だ。゛ひょうたんから独楽゛で、なにかとても拡がりのある曲に出来上がったのがとてもうれしい。
前述のSTさんも、今週のかようかいではこの曲が気になるとみえて、くり返し一緒に歌いトランペットを吹いてくれた。この店でも、いずれは皆さんに愛される歌になってほしいと私は願っている。

2011年3月7日月曜日

この春・夏のライブは、佐藤真規さんとのジョイント・ライブ


少し先の話ですが、5月のソロ・ライブの案内を載せます。
今回は、私の敬愛する゛カリスマ主婦゛シンガー・ソング・ライター 佐藤真規さんとのジョイントライブです。お互いに1ステージづつソロライブをしながら、持ち歌を二人で1~2曲共演する、という、なかなか楽しいライブです。
私のステージは、ボサノヴァ・POPSを織り込んで、オリジナル曲をメインに新曲の「ときめきの夜」などを披露する予定です。
皆様、お誘い合わせてどうぞ聴きにいらしてください。
よろしくお願いします。


11’ Spring and Summer
ジョビアゥ・タカ and 佐藤真規 JOINT LIVE


■ 5月14日(土) 荻窪アルカフェ MC:¥500+1Drink
1st Stage 19:30~ ジョビアゥ・タカ〔Vo/Gt(ゲスト出演 佐藤真規)
2nd Stage 20:45~ 佐藤真規〔Vo/Pf(ゲスト出演 ジョビアゥ・タカ)

゛Bossa and Ballade゛をテーマに、ボサノヴァ・POPS・オリジナル曲を歌い続けるジョビアゥ・タカと、主婦の日常感じていることを絶妙な語り口で歌う゛カリスマ主婦゛佐藤真規、二人のシンガー・ソング・ライターがアルカフェに出演します。
「ほんわかでちょっぴり哀愁のタカ・ワールド」と、「不思議で楽しいさとうまき・ワールド」をぜひお楽しみください。

■ Jovial TAKA・ジョビアウ タカ プロフィール(Vo/Gt/Uk/ シンガー・ソング・ライター)
ボサノヴァのギター・ヴォーカルをボサノヴァ・アーチスト・中村善郎に師事、ポルトガル語の歌をサンパウロ出身の歌手ヴィウマ・ジ・オりベイラに師事、原語のボサノヴァ曲に傾倒しながら、一方で日本語のオリジナル曲制作に精を出している。2006年にライブ活動を開始、2009年から定期的に都内のライブハウスでソロライブに出演、多くのミュージシャン達との共演を経ながら、゛ほんわかの中にちょっぴり哀愁を秘めた゛サウンドに磨きをかけている。オリジナル新曲は詞・曲TAKAの「ときめきの夜」。

■ 佐藤真規・さとうまき プロフィール(Vo.Pf/Gt/Perc シンガー・ソング・ライター)
子育てが終わったので音楽をはじめた主婦シンガーソングライター。2007年より都内のライブハウスを中心に活動を展開。2008年CD『のりまき はるまき さとうまき』と『いとまき たつまき さとうまき』を自主作成。2010年秋『たねまき みずまき さとうまき』で全国展開CDデビュー。日常を題材にラップありシャンソンありロックありの様々な音楽を作曲。作詞は笑いや涙を誘う変化に富んだ内容で、客席を飽きさせない。

<アクセス>
荻窪駅南口(新宿方面寄り)から仲通り商店街に入ってから四つ目の角、左手のビルの3階、1階は生活雑貨店のオレンジデラです。

ジョビアゥ・タカ ホームページ・アドレス http://jovialtaka.blogspot.com/  
E-mail:s-takachi@earth.ocn.ne.jp  Photo by Sato

佐藤真規 ホームページ・アドレス http://ameblo.jp/c-sato-maki/

2011年3月6日日曜日

ライブ訪問記 ミーさんと多田さんの和みデュオ

楽しいMCと乗りのいいサンバを聴かせてくれた、ミーさんと多田さんの和みデュオ Photo by TAKA
3月に入り、朝晩は相変わらず寒いけれども日中の温度は上がってきた。その温かさが夜も残る週末に、南武線武蔵中原にある Coffe Spot Life というお店を訪ねた。その夜は、才木ミーさんと多田さんコンビのボサノヴァ・ライブがあるということで、前々から一度寄りたいと思っていたことが実現できた。
私もミュージシャンの端くれで、定期的にライブ出演しながら、自分のオリジナル新曲やボサノヴァ・POPSの新レパートリーを披露しているが、自分のライブを聞いてほしいと思うミュージシャンの方には、まずその方の音楽表現をリスペクトして、ライブに寄らせていただくようにしている。
この夜の構成は、1部でミーさんのピアノ弾き語り、後半から多田さんのギターが入り、ミー(Vo/Pf)&多田(Gt)のコラボ。2部は多田さんのGtソロで始まり、後は、ミー(Vo)&多田(Gt)のデュオ、というなかなかバライティに富んだ進行だった。ミーさんは、ボサノヴァのスタンダード曲(「イパネマの娘」、「プリマベーラ」、「三月の水」など)だけでなくサンバもお好きのようで、「偽りのバイーア娘」、「ブラジルの水彩画」、「想いあふれて」なども、多田さんのGtの軽快なリズムに乗って気持ちよさそうに歌った。
「あまり知られていないボサノヴァ曲を歌いたくなる」とご自分でも語っていたが、ミーさんのお好きな「Saudade mata a gente」(Antônio Almeida / João de Barroのプレ・ボサノヴァ曲、ディック・ファルネイやナラ・レオンも歌っている)とか、「Perdido de Amor」(ルイス・ボンファの曲)は、後でYOU=TUBEやU.O.Lで聴き直してみたが、ゆったりとしていてなかなかいい曲だと思う。アルト系のやや低めのキーで歌うミーさんの声は、柔らかで聴く人を和ませてくれるし、あまりシャウトしないところも良いなと思った。
この日のハイライトは、2部初めの多田さんのギターソロ、ピシンギーニャの「Carinhoso」を流れるように弾いて聴かせてくれた。私もこのショーロ曲は好きなレパートリーで、弾き語りしたり、1部Gtソロを入れたりしてライブで披露することがある。しかし、この夜のパフォーマンスは、細部まで気持ちが込められていて、多田さんの並々ならぬギターへの愛着を見せていただいたものだった。
このお店は純喫茶店で、アルコール類は置いていない。スタンドピアノがあり、20人程で一杯となるライブスペースだが、このお店で初めてライブをして以来もう5年も月一回のペースでミーさんはライブをしていると言う。そうして続けていることは大変貴重なことだと思うし、多田さんとのデュオもそうして培ってきた゛ア・ウンの呼吸゛があって、聴く人を和ませてくれるのだと感じた。
アンコールに応えて、ノエル・ホーサのサンバ曲「嫌な予感」で二人のライブは終わったが、久し振りにボサノヴァとサンバを沢山聴いた楽しさに浸りながらの帰路であった。多田さんのギターは、スペイン製のフラメンコ・ギター(Manuel Sayes)で、フラメンコでありながら、柔らかないい音がする。終わった後、彼のギターを弾かせてもらい、私のオリジナル曲「Beside You」を弾き語りさせてもらったのも楽しかった。