2008年6月8日日曜日

花の香りいろいろ

バラ・マジョレット(仏HT系)神代植物園 Photo by TAKA
花の楽しみには、季節の風情やかたち・色合いのほかに、香りがあります。
時折、女性たちが花に顔を近づけて(鼻というほうが正確!)香りを楽しんでいる姿を見ますが、意外と少ないように見えます。かく言う私は、香り楽しみ派です。
バラの花は、すべてのバラと言うわけではないですが、香りの良い種類が多い。すがた良し、色良し、香り良しでファンが多いのもうなずけます。「パパ・メイアン(仏)」や「シャルル・ドゴール(仏)」、「オクラホマ(米)」などは、芳香系と呼ばれ、むせ返るような香りがあります。香水の原料ではバラの香りが代表的なものでしょう。スウィートでディープ、そして華やかだから。

香水のブレンドの仕方も、おおむね三つの要素からなっています。時間差としての瞬発性と主体性、そして持続性...つまり、つけたときから1時間位をフレッシュな柑橘系で、華やかで甘いローズ系を主体に6時間位、半日ほど持つ肉感的香りが持続するムスクなど、これをブレンドして女の魅力を振りまくこととなるわけです。男性の場合は、主体的な部分がウッド系やスパイス系となりますが、私自身はサンダルウッド(白檀)の香りが好きで、オードトワレを使ったり、家の中で線香をたいたりして楽しんでいます。

バラの花は、ある意味ですべて平均点以上なので、魚で言えば鯛のようなものです。すがた良し、刺身良し、焼いて良し、煮ても良し、みたいな。ただ、きれいに咲かせるには大変手間がかかる、虫や病気に弱いからね。
もうちょっと個性的な視点と私の好みから゛花の香り・ベストスリー゛を言えば、1に紅三椏、2に芍薬、3に藤の花、番外で水仙、と言うところですね。

藤の花は、乾いた上品な香り(パウダー系)が初めから最後まで水準より低めの濃さで持続します。花の香りをかいだときの゛前香゛、鼻腔の頂点を通り過ぎるときの゛本香゛、喉元を通って気管支から肺に消えていくときの゛後香゛...藤は一貫として低密度ではあるが芳香が変わらず、それゆえに「クールな耽溺」と呼んでみたいのです。

ところが芍薬の素晴らしい香りは、蜂蜜臭を主体にして、北の白ワインの様な、例えばシャブリのグランクリュ、とかトランバックの様な、締まった涼やかな香りが持続してずっと変わらないのです。その高貴な香りはドライフラワーにしてもずっと持続するところがすごい。私は洋服たんすに芍薬の花びらを干したのを入れて楽しんでいます。

そして、紅三椏は小さな花房にもかかわらず、香りが凝縮していて蜂蜜臭をさらに濃くした高いレベルで香りが持続します。しかも、前香ー本香ー後香、が一貫して高密度で湿った潤いがあるのです。どうですか、ちょっと怪しいでしょう?「濃密なる媚惑」とでも言いましょうか、これは男心を惑わします。

香りは後香が大事です。水仙のかわいらしい小さな花は野趣溢れた芳香を持っています。ただ、前香ー本香は素晴らしいのですが、後香がいただけない。香りの成分が強すぎるのでしょうか、かぐわしい香りが一変し腋香の様な、あるいは女性が性のエクスタシーに達したときの生臭い香りの様な、異臭を感じてウッと息詰まってしまいます。でも、汗ばんだ田舎娘の若い肌(例えがなんですが)の様な素敵な魅力がありますね。

今日は、ちとおしゃべりが過ぎたような...花写真を楽しんでください。

紅三椏・常泉寺の参詣道
芍薬・ハイヌーン・足利フラワーセンター
藤の花・国領神社の千年藤

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