2011年6月18日土曜日

朝の花菖蒲田は、色のグラデーションが鮮やか


   □朝の光の中で、咲き揃った花菖蒲、白から青紫~赤紫への色変化が美しい All Photo by TAKA


梅雨の合間を縫って、明治神宮の御苑に出かけた。この時期は開苑が午前8時と早いので、早起きして開苑と同時に入苑したが、花菖蒲ファンや写真家もちらほら。神宮の鬱蒼とした森の木立ちに囲まれた小さな谷地の中にある花菖蒲田は巾15m長さ300m程の規模で、清正の井戸から湧き出る清水が、うねうねと続く棚田を流れ落ちて、最後は
南池に注いでいる。とても雰囲気のある花菖蒲田で、花の管理もいいことから、江戸期以来の花菖蒲を数多く楽しむことが出来る。訪れる6月の時期によって見ることが出来る種類が変わるが、私の好きな花スポットだ。


花菖蒲の色は、やはり青系が主体だが、花弁の形や色・模様によって色々なバリエーションがある。「五節の舞」(写真上左)の珍しい花弁に目が止まった。青色の花弁に濃い青筋が拡がるものと、同じ色の花弁に白い筋があるものを隣り合わせに見た。よく見ると花弁の中心色が違っているし、一卵性の双子みたいだ。ところが、「白糸の滝」(上右)は同じ青色花弁に白い筋なのだが、花芯に向かって白色部分が多くなる゛ぼかし゛模様。花弁の脈筋によって、微妙に姿が変わっていくのも面白い。

この外苑の花菖蒲は、ヨーロッパに渡って品種改良された゛ジャーマン・アイリス゛のように大柄のものは少ない。江戸系・伊勢系・肥後系の約150種が植えられているというが、その中でも白色種は少ない。「鶴の毛衣」(上左)の白い花弁は、少し皺が寄っていたりめくれ上がっていたり、不思議な形をしているが、薄絹衣のような品の良さを漂わせている。かたや、「沖津白波」(上右)は、ぽってりとしな垂れかかるような花弁姿で、大柄な色白美人を思わせるが、他の青紫の花菖蒲に挟まれて一際目立っていた。

赤紫系の花菖蒲は、白や青系の花が多い中では目立ちにくいのだが、「五月晴れ」(左上)は、小さな花芯と扁平の大きな花弁が特徴だ。淡い赤紫の脈筋が花弁の先端に行くほど薄まっていき、丸味とともに柔らかなフォルムを作っている。やや濃い目の赤紫に白い筋が走る「酔美人」(上右)は、花弁が大きく波打っているうえ、花芯も高くて大きいので見映えがする。こんな綺麗なほろ酔い美人に見つめられたらドキッとするかも。
次に、この苑以外では余り見たことがない2種を紹介するが、「小町娘」(上左)は、花芯が赤紫・花弁の元が鬱金色・花弁が白色、なんとも洒落た花色だ。花弁が薄い赤紫のものもあり、こんな配色の妙は希少と思われる。花名を付けた人も、この花の魅力を存分に表現したかと思う。こちらが下町美人とすれば、「深窓佳人」は、貴族かあるいは上流のお嬢様だろうか。面長・薄紫の花芯、花弁の元は鬱金色、細身で柔らかな白い花弁、配色の上品さのみならず、花全体に気品が溢れている。この2種を見るだけでも、この苑に来る価値があるというものだ。
この他にも、この苑に多く栽培されている「奥万里」や「利根川」、「古希」や「磯千鳥」などの種類も咲き揃っていたが、花菖蒲の青の花色グラデーションはとてもこころ休まる色であり、神宮の森から漂う朝の冷気の中で見る花菖蒲は、この季節ならではのビューティフル・スポットであった。
明治神宮御苑のHPは以下のとおり。

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