▢フィギュアスケート団体戦・金メダルのロシア選手たち、シングル女子はユリア・リプニツカヤ
( 右から4番目 )、シングル男子はエフゲニー・プルシェンコ(一番右)、共にショート・フリーの2種目で好調だった。
All Photo by Zimbio

いる中、ようやく今日は、男子スノーボート(銀・銅)とノルディックスキー(銀)2種目の朗報が届いた。
何事も内向きな日本のマスコミは、メダル獲得への期待度が高いため、やたらと金だ銀だと煽り立てて
はいるが、TV中継やニュースを見るにつけて、世界には各種目に強豪が五万とひしめいているのを
目の当たりにすることができる。そういう情報を事前に伝える日本のマスコミは少ないが、4年に一度
の祭典で、一流選手たちの迫力あふれる競技を見られることは、とても素晴らしいことだ。

アが、圧倒的な強さを見せて金メダルに輝いた。ロシアのフィギュアスケートはここ数年間、得意のペア
ダンスとアイスダンスは強いのだが、個人戦になると有力選手が育って来ずに低迷していた。しかし、
ソチでの開催が決まてから、国を挙げての強化策が功を奏してきたのだろう、ジュニア女子選手の
活躍が目立つようになり、ユリア・リプニツカヤ、アデリーナ・ソトニコヴァ、エリザベータ・トゥクタ
ミシュワなどの有力選手を輩出してきた。特に今回、リプニツカヤ(15歳)の活躍には、目を見張
るものがあった。女子シングルのショート・フリー共に優勝という結果は、ロシアも総力を挙げてメダル
を取りに来ていることが感じられ、好調の最有力選手で戦う姿勢が強く出ていた。彼女のクラシッ
ク・バレエで鍛えた身体の柔軟性は素晴らしく、ジャンプ・スピン・ステップともに、スピードに乗った
流れるような演技が光っていた。まさに上り調子、メダルが期待されているプレッシャーも跳ね除け
て、「キャンドル・スピン」という超高難度の技も披露してくれた。体が一直線になって回る演技は、
他のどの選手にもできない彼女だけの技だ。日本の荒川静香(トリノオリンピック金メダル)にも、
「イナバウアー」という大技があるが、オリジナルな大技を持っているのは、大きな強みだ。女子シ
ングルの金メダル最有力候補になるだろう。

カロリーナ・コストナー(伊)は、世界選手権で5回表彰台に上がっているベテラン(2012ニースではチャン
ピオン)だが、不思議にオリンピックではメダルに縁がない。今回はシングル・ショートプログラム(SP)で
2位となったが、ジャンプも安定しているし、長身の身体から繰り出す優雅な演技が素晴らしかった。私も
含めて、この選手のファンは多い。

リストと、成長著しいリプニツカヤ(ロ)と、ベテラン・コストナーの三つ巴で金メダル争いとなるだろう。
日本の浅田真央は、今回シングルのフリー・スタイル(FS)に出場したが、トリプルアクセルを失敗し
転倒。何とか他の演技をまとめたが3位がやっとだった。不安定なジャンプのままでは、日本の期待
とは裏腹にメダルの可能性は低いと私は見ている。アメリカ勢のアシュリー・ワグナーとグレイシー
・ゴールドもメダルを狙える位置にいると思うが、果たして金・銀に食い込むことはできるだろうか?
注目の女子選手たち、上からユリア・リプニツカヤ(ロ)、カロリーナ・コストナー(伊)、浅田真央(日)、アシュリー・ワグナー(米)、いずれの画像もインターネット・情報サイトZimbioより
さて、今回の一番の話題は、プルシェンコ(ロ・31歳)の復活だろう。私自身も、シングルSPとFSの滑り
を見て、その力強さとキレのいい演技にびっくりした。4回転ジャンプも軽々と飛んで見せた。過去3回の
オリンピック(2010バンクーバー/ 2006トリノ/ 2002ソルトレイク・シティ)で、金1回・銀2回を獲得して
いる大ベテランは、バンクーバーの後故障続きで、ほとんど国際大会には出てこなかった。
彼の競技で特に覚えているのは、バンクーバーでは、4回転ジャンプを3回決めたのに、4回転ジャンプ
を一度も飛ばなかったエバン・ライザチェック(米)に敗れたことだ。表彰台で憮然とした表情をしていた

プルシェンコの姿を今でも鮮明に覚えている。
その後、競技得点の改正により、4回転ジャンプのような高度な技には高得点が配されるようになり、
男子フィギュア・スケートの競技は、一気に4回転時代に突入した。今回シングルでプルシェンコはFSで
優勝、SPでは2位、ロシアの団体戦優勝の原動力となったが、SPで彼を下したのが羽生結弦だった。
羽生は、スケート演技の目標として、永い間プルシェンコを追いかけてきた。彼は、ジャンプ・スピン
・ステップのすべてに渡って、ダイナミックでキレがあり、また観客を惹きつけるエンターテイメント性に
優れ、特に4回転ジャンプの申し子は、スピードも素晴らしい。彼とは長身の体躯という点でも似ている
(羽生はやや細めだが)。今シーズン、グランプリ・シリーズでパトリック・チャン(カ)とがっぷりと渡り合い、
ファイナルでは彼を下して優勝を遂げたが、憧れのプルシェンコとオリンピックで勝負できるのは、羽生に
とっても本望だろう。

のシングルSPでは、羽生・プルシェンコに次いで3位だった。抜群の安定性を誇ってはいる
が、復活してきたプルシェンコと、心境著しい羽生とどう戦うのか?羽生には、同じ4回転ジャン
プでも、サルコー(後ろ向きからジャンプする)という超高難度の決め技がある。成功の確率は
まだ低いが、羽生はこの技で勝負してくるだろう。羽生・プルシェンコ・チャン三つ巴の戦い
で、男子シングルは俄然面白くなってきた! 日本の高橋大輔にも頑張ってほしいが、体調
万全でない彼にはメダルに手が届かないのではないかと思う。
注目の選手たち、上からエフゲニー・プルシェンコ(ロ)、羽生結弦(日)、パトリック・チャン(カ)

アイスダンスでは、メリル・デイビス/チャーリーホワイト(米)〈フォト上〉のコンビが、SP・FSともに優勝を
果たした。2位はテッサ・ヴァーチューとスコット・モイヤー組(カ)〈フォト下〉。この2つのコンビは、ここ
4年間の世界選手権で、交互に勝ったり負けたりして、金・銀を争ってきた。オリンピックの舞台でも、
ともに二人の息の合った演技で、観客を魅了した。3位はSP・FS共にロシアのコンビ、エレーナ・イリ
ニフ/ニキータ・カツァラポフ組と、エカテリーナ・ナボロフ/ドミトリー・ソロビエフ組。アイスダンスとペ
アの層の厚みが、ロシアの団体戦の金メダルに繋がっている。
日本勢は残念ながら、これらの競技の層は薄い。アイスダンスのキャシー・リード/クリス・リードの姉弟組
はSP8位、FS5位、ペアの高橋成美/木原龍一組がSP8位、FS5位。メダルには届かなかった。
ペアでは、ロシア勢が圧倒的な強さを見せた。ペアSPでは、タチアナ・ホロソジャル/
マキシム・トランコフ組、FSでは、クセニア・ストロボーヴァ/フェードル・クリモフ組
がともに優勝。カナダ(2位)、中国(3位)を寄せ付けなかった。
この辺りの競技になると、私もニュースの短い映像でしか見ていないので、各組の
演技をじっくりとみていない。日本のマスコミ各社でも、自国選手の競技が放映の
中心なので、放映機会が少ないのはやむを得ないだろう。
アイスダンスのエカテリーナ・ナボロワ/ドミトリー・ソロビエフ組〈ロ・フォト上〉と、ペアのミーガン・デュハメル/エリック・ラドフォード組〈カ・フォト下〉
団体戦の後、男女シングル・ペア・アイスダンスの各競技が始まるが、特にシングルは
男女ともに波乱含みの要素が一杯なので目が離せないだろう。新進とベテランの対決
も見物だし、どんな得意技をどのタイミングで出してくるかも興味を引く。
各選手たちの演技をTVで楽しみたいと思う。
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