▢カロリーナ・コストナー(伊・27歳・169cm)のフリー・スタイル演技、スケーティング技術・芸術的
表現力・音楽とのハーモニー、すべてにおいて完璧だった。
銀/団体戦・銅で湧いたり、羽生結弦のフィギュア個人で金の大殊勲、女子スノーボードで竹内智香が銀、
ノルディックで渡部暁斗が銀など、明るいニュースもあった。ここでは、私の好きなフィギュアスケートの個人
戦(シングル)を見て、きわめて個人的な感想を述べたいと思う。今回の画像とニュースは、MSNからの
ものであることをお断りしておく。
ものであることをお断りしておく。
女子シングルの金メダルは、だれが何と言おうとカロリーナ・コストナー(伊)だった(採点は銅)。ショート
・プログラム(SP)もフリースタイル(FS)もすべてノーミスの演技、すべてのジャンプを鮮やかに決め、
スピン・ステップも文句のつけようがなかった。何よりもまず、演技とテーマ音楽とのハーモニーが
抜群だった。SPの「アベ・マリア」、FSの「ボレロ」、ともに完成され円熟味を増した素晴らしい演技
だった。FSのコスチュームは黒、アイラインと赤のリップのメーク・アップでコーディネイトも抜群、彼
女のパーフォマンスを見て、豊饒な香りの極上ワインを堪能したような気持になったのは、私だけ
ではないと思う。
スケーティングは完成されていた。FSのテーマ音楽は、ビアソラの「アディオス・ニーノ」、
キレのいいタンゴと彼女の演技はとてもよくマッチしていた。銀メダルは妥当なところか
(採点も銀)。ただ、惜しむらくは、前回のバンクーバー(金)の演技とほとんど変わらなか
ったこと。ブランド・ワインもやや気が抜けていた感があった。でも、演技後のインタビュー
で、「今回の出場で次回の自国開催での韓国枠を得ることができたし、若手も育っている。」
とコメントしていたが、シングル女子しかフィギュア選手が育っていない自国の未来を見据えた
出場には意味があったと思う。
銅メダル(採点は金)は、アデリーナ・ソトニコワ(ロ・17歳・163㎝)、スピードに乗ったキレのいい演技は、とても
フレッシュで、上り調子の勢いを感じさせてくれた。SPのテーマ音楽・「カルメン」の乗った演技と赤い衣装がよかっ
た。現行の採点基準から、金メダルの評価を受けたが、私からは体操の演技を見ているようで、物足りなかった。
濃いグレーの衣装もNG、ビジュアルにももっと配慮が必要、観客を湧かすエンターテイメント性もまだまだだ。
しかし、将来性という点では、若手が活躍しだしたロシアのフィギュア選手たちは、国際大会でも表彰台に上がる
機会が多くなると思う。
日本期待の浅田真央は、メダルに届かなかった。オリンピックでメダルを獲得できるには、完璧な演技が要求さ
れる。その点では、コストナー・キムヨナ・ソトニコワに及ばず、またグレイシー・ゴールド(米・18歳・
165㎝・4位)にも及ばなかった。FSの素晴らしい演技で高得点を挙げ巻き返しを図ったが、テーマ
音楽の「ピアノ協奏曲2番」(ラフマニノフ)も、難解で不安感のあるサウンド、彼女との相性はマッチ
していないように思えた。遅咲きの鈴木明子には、「永い間、お疲れ様でした。」と言いたい。村上
佳菜子は、浅田・鈴木の去った後、女子日本フィギュアを引っ張っていけるのか? 奮起を促したい。
注目すべき選手では、ポリーナ・エドムンズ(米・15歳・165㎝)、痩身・長身の体躯から繰り出す演
技には、迫力と優雅さが兼ね備わっていた。今後、国際競技会で表彰台を狙える有力選手になり
そう。個人戦では力を出せなかったユリア・リプニツカヤ(ロ・15歳・158㎝)も、大舞台を経験して、
今後の活躍が望めると思う。浅田真央・キムヨナ・鈴木明子ら一流選手が第一線を退いた後、今後
の女子フィギュアの世代交代が興味深い。
今回のフィギュア・スケート女子シングルは、採点の結果に対する疑問もあったが、各選手の素晴
らしく高度な競技を見ることができて、とてもスリリングで面白かった。ジャンプ・スピン・ステップの
演技技術、4分以上を構成する演技の流れ、テーマ音楽と演技のハーモニー、コスチュームとメイ
クアップ、など、総合的な競技としての魅力は、これからも観客を大いに沸かせてくれるだろう。来
月の世界選手権も有力選手の演技を楽しみたいと思う。
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