金メダルで日本中を喜ばせた羽生結弦(日・19歳・171㎝・中)と、パトリック・チャン(銀・カ・23歳・
168㎝・左)と、デニス・テン(銅・カザ・20歳・168㎝・右)の表彰台、画像はMSNより。
金メダルを取ってしまったのだからスゴイ! 彼の演技は、4回転ジャンプも、スピンもステップ
も、ダイナミックでなおかつしなやかだった。パフォーマンスで客席を湧かせるエンター
テイメント性でも非凡な素質を持っている。ノーミスのSPはエレキ・サウンドの「パリのアメ
リカ人」、FSでは「ロミオとジュリエット」、二つのテーマ音楽と演技のハーモニーも素晴ら
しかった。FSで挑戦した4回転サルコー・ジャンプ(後ろ向きに入って後ろ向きに着地する)
は惜しくも失敗したが、SPで高得点をたたき出して先行した分が金メダルに繋がった。精神面で
もタフな若い王者の時代は、当分続くと思われる。
羽生が楽しみにしていた、敬愛するエフゲニー・プルシェンコ(ロ・31歳・178㎝)との対決は、
残念ながら彼の故障欠場でシングル戦では実現しなかった(左は、リハーサル中の2人の珍しいツー
ショット)。金メダルに輝いた羽生に、彼はツィッターで「結弦は私のアイドル、よく頑張った、天才だ。」
と祝福した。彼の引退とともに、4回転ジャンプを競い合ったブライアン・シュベール(仏・29歳・168㎝)も
引退を表明した。
パトリック・チャン(カ)のFS演技は、なぜかちぐはぐな印象だった。いつもミスのない万全の演技で高得点
を上げる彼に、ジャンプのミスが続いた。テーマ音楽の「四季」(ヴィバルディ)と「合奏協奏曲」(コレッリ)
のバロック・サウンドとの相性も良くなかった。チャンのプログラムも素晴らしかったが、羽生と彼のコーチ・
ブライアン・オーサー氏と組み上げた高難度のプログラムには及ばなかった。作戦面でも一歩遅れ
を取ったように思う。
銅メダルのデニス・テン(カザ)については、私もノーマークだった。昨年の世界選手権で、P.チャンに
次いで2位の成績だったことを思い出したが、この時も4回転ジャンプを見事に決め表彰台に上がった。
それまでの成績がほとんどなく、当時もフロッグだと言われたのだが、やはり実力者だったのだ。小柄な
体躯だけれど、小気味いいジャンプには定評がある選手、テーマ曲も「お嬢さんとならずもの」(ショスタコ
ビッチ)というユニークなものだった。
日本の高橋大輔(6位・27歳・165㎝)には、本当にお疲れ様でした、と言いたい。演技終了後の晴れや
かな顔がとても印象的だった。町田樹(5位・23歳・162㎝)は、よく健闘したと思う。メダル獲得を
掲げて、自らを鼓舞して戦う姿勢がよかったし、テーマ曲「火の鳥」との相性も良かったと思う。
やはり、コンスタントに高得点を挙げられる安定性(特にジャンプ)を得られれば、今後も表彰台に
上れる選手になると思う。
さて、オリンピック終了後の日本のフィギュア・スケートを見ると、高橋大輔と織田信成は一線を退
くけれど、羽生・町田・小塚(崇彦)らの有力選手が競い合うだろうから、まだまだ面白い試合を見
せてくれそうだ。金メダルの羽生を目指して、ジュニア層の選手たちも頑張って上がってくるのを期
待しよう。
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