2015年1月3日土曜日

2015・今年のお節料理




いつもと変わらぬ我が家のお節、今年は丸のお重に詰めてみた。Photo by TAKA


お正月は、暮れに作ったお節料理を美味しいお酒と共にいただいて過ごす、というのが恒例で、今年も

やわらかな滋味溢れる我が家の味を堪能した。お節には、日本の伝統的な家庭料理(和食)の作り方と味が

ぎっしり詰まっているので、食材を吟味し天然醸造の調味料(お酒・醤油・みりん・玄米黒酢・塩など)を整えて、

和食の作り方の手順を一つ一つ確認しながら丁寧に作っていく。黒豆の戻し(水に漬けて一晩)、数の子の

塩抜き(薄い食塩水で3回)、昆布巻きの酒漬け伸ばし(20分程)、田作りの湿気飛ばし(オイルヒーターの上で

1時間程)、紅白なますの塩もみ(20分程度)など、下ごしらえをちゃんとしてから味付けをする。「めんどくさい」

と言って手間を省き、何事も電子レンジでチンしたり、即席簡単レシピに慣らされてしまった昨今の調理仕用

では味わえない、素材本来の味を楽しむには、この手順が大切なのだ。味付けの基本は、昆布や鰹節を

使った出し汁に、お酒・醤油・みりんを少々加えた漬け汁に浸したり、煮たてたり、煮絡めたりが基本だが、

生もの(魚の刺身や蒲鉾など)は、ひと工夫して飽きの来ない味付けをしてみる。


そんなことで、今年も以下の8品を作ってみた。

黒豆:まめ(健康)に暮らせますように、との願いを込めて。一晩水付けて戻すと、約1時間程でやわらかく
煮上げることが出来る。煮汁は洗双糖と醤油少々で、さび釘を入れて黒豆のつやつやした色を出す。市販
のものと違って、柔らかな味は食べても飽きが来ない。サラダ感覚で楽しめる。

紅白なます:三浦大根とにんじんの細切りを、玄米黒酢とメイプルシロップで和えて。紅白の色、太古
から平和のシンボル。しゃきしゃきとした歯触りが身上だ。

蒲鉾の2色サンド:白に生たらことスダチ、赤にナチュラルチーズと紫蘇葉を挟んで。変わり味が楽しめる。

昆布巻き:酒で戻した日高昆布と鮭切り身を使った煮物、やわらかくておいしい。昆布は「よろこぶ」に
繋がり、一家繁栄のシンボル。

数の子:無漂白の小ぶりの数の子を使った。充分塩戻しした後、柔らか味の漬け汁で味付け。コリコリと
した歯触りも魅力。

海老のうま煮:今年は活きのいい小振りの車エビが入手出来ず、輸入物の赤海老を使い少しだけ作った。
ひげが伸びるほど、腰が曲がるほど長生きできるように、との願いを込めて。

田作り(ごまめ):水気を飛ばすのにオイルヒーターを使ったらうまくできた。照り醤油(洗双糖を少し入れた)
で味付け、カリッとした歯触りが身上。

サーモンと白身魚のミルフィーユ:刺身のお作りだが、紫蘇大葉・サーモン・とろろ昆布・カンパチの順に
乗せて四段重ねにするから、実際はセーズ・フィーユ(仏語 seize feuilles:16枚重ね)かもしれない。一枚
づつ剥ぎながらいただくと美味しい。


昨今、食を巡る事故(異物混入・食材管理ごまかし)、偽産地表示や品名表示詐欺など、本来あるべき

食材の安心・安全を脅かす事例が後を絶たないのだが、やはり安易な加工食品や大量消費の工場生産品

に頼らずに、自宅で食材を調理できることが望ましいと思う。「身土不二」(生まれ育った土地でその季節に

取れた食材を、気候・空気・水・土壌とともに身体に取り入れる)、「一物全体」(食材は皮や根も丸ごと食べる

ことで生命を維持していく)、などのマクロ・ビオテックなコンセプトに出来るだけ近づけて日々の食事をとる

ことが、安全で健康な毎日を送れる源であることを、改めて年の初めに認識することになるのだ。

過ぎ越した年を思い起こしながらゆっくりとお節料理を作り、新年に味わい深い品々を食べられるのは、

とても幸せなことだと思う。色々なニュースを聞いてみると、クリスマスのケーキもお節料理も、集中する需要

に応えるために、冷凍保存や氷温保存されたものが大半だというが、それを買ってみても本当に美味しい

ものは食べられないだろう。「お節なんて大して美味しくない!」という声もよく聞くが、そんなことは絶対ない

のだ。和食の伝統にのっとり、手間ひまを少しかけて食材のおいしさを引き出せば、こんなに健康に良い、

メタボとは縁のない料理は、世界の何処を探してもなかなか無いのだ。それが本来の和食だと思う。



今年も2家族のお節料理を作った。四角の2段お重は、お手伝いいただいた食友YKさん宅の
お節ち、きれいにお重に収まった。当方宅のお節ちは、実弟が来てあらかた平らげていった。


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