『ブラッド・ムーン』を巡って、佐野元春の新曲『紅い月』を調べていたら、もう一曲・超大物アーティストの
新曲がヒットした。それは、゛ジュリー゛こと・沢田研二の『泣きべそなブラッド・ムーン』という曲で、アルバムの
「こっちの水苦いぞ」(2015年4月1日リリースのCD)に収録されている。Amazon のカスタマーズ・レビューを
参考にしてみると、ジュリーはここ4年の間に、2012年に「3月8日の雲~カガヤケイノチ」、2013年に「Pray」、
2014年には「三年想いよ」、それに続いて2015年は「こっちの水苦いぞ」と、3.11東日本大震災と脱原発を
テーマにしたアルバムを毎年発表していたのだ。以前TVの音楽番組で沢田研二の特集があり、最近の音楽
活動は、都内のライブハウスで自分の作ったオリジナル・ソングを、信頼できるバンド・メンバー達と一緒に
やるのが中心だ、というのを見たことがあった。しかし、今年67歳の彼が、大震災の被災者支援のための
現地コンサートと、オリジナル曲の制作・発表を地道に続けていることは、私も良く知らなかった。
▢『泣きべそなブラッド・ムーン』・沢田研二と鉄人バンド You-Tubeより
この曲は、作詞:沢田研二 / 作曲:大山康輝(鉄人バンド)によるが、歌詞を見てみると、昨年の10月8日に
南相馬市で開催されたジュリーのコンサートをテーマにしていて、奇しくもその夜は皆既月食を会場から
見ることが出来た夜だったのだ。その歌詞を抜粋して載せてみるが、
♪ 南相馬の空には
泣きべそなブラッド・ムーン
鬱憤 心棒 慚愧
心の重荷一緒に
晴れた南の空には
静かな皆既月食
10月8日の全部
花束にし 手渡したい
君にも 君にも ♪
その夜の会場に集った被災者の方達の想いは、ジュリーが書いた「鬱憤 心棒 慚愧」という難しくも普段
めったに使わない言葉でも現せ切れないものだったと思うが、涙で赤くなった瞳でみるブラッド・ムーンを
『泣きべそなブラッド・ムーン』と表現したところが、被災者の方達に寄り添ったジュリーの想いを感じることが
出来る。しかし、この曲を、ドラムとベースによるビートの効いた力強いリズムに乗りながら、今もなお艶のある
パワフルな声で歌っているジュリーは、生粋のヴォーカリストだなぁ、と感心してしまった。「10月8日の全部
花束にし 手渡したい 君にも 君にも 」という言葉が、ロックとバラードを融合したような稀有なメッセージ・
ソングに仕上がっていると思う。
私自身は、あの夜のブラッド・ムーンを始めから終りまでつぶさに見て、ブログに以下のように書いた。
『人は誰も、日々の幸せを願い、平穏無事に暮らせることを願っている。けれどもその願いとは裏腹に、人は
誰もがつらかった過去や失った恋など、悲しみや苦しみの傷跡の様なものを背負って生きているものだ。
何年に一度のブラッド・ムーン(赤い月 or 血色の月)が現れるとき、喜びや幸せと表裏一体の思いを、人は
呼び起されるのではないだろうか? 輪廻転生の中で、移ろう季節の中で、ふとよみがえるそんな思いを歌に
してみた。』
私の曲・『ブラッド・ムーン』は、佐野元春やジュリーの曲と較べられるものではないが、日常の中に突然現れた
あの異様で幻想的な「紅い月」を見て、今の今を生きる想いを言葉とメロディーに託して表現できたことは、
表現者(クリエイター)としてとても喜ばしいことだと思っている。
▢ブラッド・ムーン by Jovial TAKA 2014.12.5 You-Tube より
<この項終わり>
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