2016年11月11日金曜日

ISU フィギュアスケート・GPS 前半戦3試合より(その3)

 
GPS・6戦中、出場資格のある選手は2回エントリーしてくるから、前半戦3試合で1回りしたことになるが、宇野昌磨
 
のように1戦と3戦に出場したり、H.フェルナンデスのように連戦でロステレコムカップとトロフィフランスに出てく
 
る場合もある。現在男子シングル選手の中では、フェルナンデスが羽生結弦を抑えて1番の実力者だろう。世界選手権
 
2連覇・欧州選手権5連覇の実績は、彼を「王者」と呼びにふさわしいと思う。ジャンプの切れと安定性・多彩なス
 
テップ・高速で軸のブレないスピン、テーマ曲の表現においても、クラシックのみならずジャズやコミカルな曲を表
 
現する身体能力は実に多彩だ。そして、如何にもスケーティングを楽しんでいるかに見える雰囲気は、多くのファン
 
を魅了してやまないのだ。
 
 

 ロステレコムカップ男子シングル優勝のハビエル・フェルナンデス(ス25歳)、SPはフラメンコの『ラ・マラ
ゲーニヤ』・FSは『E.プレスリーメドレー』がテーマ曲。ロックのリズムに乗った曲表現は、彼の芸達者ぶり
をおおいにアピールした。観ている当方も楽しい雰囲気に嬉しくなってしまった。次回第4戦・トロフィフラン
スで再び表彰台に上がれば、ファイナル戦に出場しメダル争いのトップに立つ可能性は大だ。来年3月の世界
選手権まで、P.チャン・羽生結弦との三つ巴のバトルが楽しみだ。恐らく、計300点台の争いとなるだろう。
 
 

 初戦スケートアメリカ優勝の勢いをそのままに今回の試合に出場してきた宇野昌磨(日18歳)、2014年のJr世界
選手権を制し、シニア戦2シーズン目でトップ選手たちと互角に戦えるまで成長してきたのは驚異。実際トップ
H.フェルナンデスに次ぐ2位を獲得した。SPで挑んだ4Fは着地で手をついてしまったが、FSではそれを
に成功させた。ジャンプ着地の後両足をイーグルにしたまま身体を後ろに大きくそらす「クリムキン・イー
グル」も彼の見せ技となっている。SP98,54は歴代3位の高得点、1戦1位・3戦2位で、いち早くファイナル戦へ
出場を決めたのは素晴らしい。
 
 

ロステレコムカップ3位は、私もノーマークだったベテランのオレクシイ・ビチェンコ(イス28歳)、シニア戦
10年目・出身はウクライナとのこと。FSのテーマ曲『道化師』に乗った演技も、果敢に4Tを2回飛び成功させ、
3F以外のすべての3回転ジャンプを見事に飛んだ。まだまだこんな凄い選手がいるのにびっくり。第6戦のNHK
杯にも出てくるから、彼の演技は見物だ。
 
 
 
ロステレコムカップの女子シングル戦は、地元ロシアの女子選手3人の戦いとなるかに見えたが、ユリア・リプニツ
 
ヤ(ロ18歳)がFS競技中に足故障のため演技中断となり、戦列を離れてしまったため、コートニー・ヒックス(米20
 
歳)が、アンナ・パゴリラヤ(1位)・エレーナ・ラジオノワ(2位)に次いでで3位に上がってきた。E.メドベジェワを加え
 
たロシア3選手の熾烈な戦いは、GPSファイナル戦まで続くものと思われる。
 
 
 
ロステレコムカップを優勝したA.パゴリラヤ(ロ18歳)、167㎝の長身から繰り出すジャンプは迫力があり、
しかも安定してきた。今年の世界選手権で銅メダルの実績に加えて、長い足先・指先まで意識がこめられた
演技は伸びやかで、全体に大きなイメージの創出が可能になってきた。FSテーマ曲・映画『モジリアーニ・
真実の愛』に乗った演技では、3A以外のすべての3回転ジャンプを成功させ、Stのコレオシークエンス・
Spのフライングキャメル・スピンも高評価を得て141,28を獲得し、SPとの計215,2を叩きだした。エキゾ
チックで華やかな風貌は、衣装映えする体躯と共に人気が出て来た。
 
 
 
E.ラジオノワ(ロ17歳)は、今回もまた手堅く2位で表彰台に上った。2013年の世界Jr.選手権を優勝後シニア戦
に転戦して以来3年間、大崩れすることなく常に表彰台にいた彼女(今年の世界選手権だけ6位)は、その間に身長
が10㎝以上伸びているというから、本当に順調な成長を遂げた数少ない若手選手かもしれない。最近、お姉
さん的雰囲気も出て来た。現在、パゴリラーヤと同じ167㎝、ジャンプもステップ・スピンも総合的に高いレベ
ルでこなせるのが魅力。FSテーマ曲はお馴染みの歌劇『トゥーランドット』。

 
 
今回3位に飛び込んできたコートニー・ヒックス(米20歳)、シニア戦に入ってからの成績は昨年のNHK杯2位
があるくらいで、大きな大会での実績はこれからだ。ただ、今回のFSでは、テーマ曲『ノートルダムの鐘』
に乗ってジャンプをノーミスですべて成功させ、Spのスピードも速く全体に切れがあった。次回のエントリ
ーは第5戦中国杯、A.ワグナー・K.オズモンド・E.ラジオノワ・三原舞依・本郷理香らが出場する激戦だ。
ここで再び表彰台に上がれれば、ファイナル戦出場が見えてくるが...
 
 
 
さて、GPS前半3戦を振り返ってみて、ファイナル戦出場有力選手を探ってきたが、男子シングルでは、H.フェルナン
 
デス・P.チャン・羽生結弦のトップ3選手に、若手の宇野昌磨・アメリカ勢のJ.ブラウン・A.リッボンがどう絡んで
 
くるか? ダークホースはA.ビチェンコだろう。
 
女子シングルでは、ロシア若手3選手のE.メドベジェワ・A.ポゴリラヤ・E.ラジオノワに加えて、アメリカ勢のA.ワグ
 
ナー・C.ヒックス・カナダのK.オズモンド、そして日本の宮原知子・三原舞依らの争いになるだろう。G.ゴールド
 
(米)とE.トゥクタミシェワ(ロ)はややきついか?
 
本日から第4戦のトロフィーフランスがパリで開催される。参戦する浅田真央の健闘を祈るが、どんな結果になるか?
 
 後半3戦とファイナル戦(12/8~)を楽しみにしたいと思う。
 
 
<この項おわり>

 

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