2016年11月11日金曜日

ISU フィギュアスケート・GPS 前半戦3試合より(その2)


現在、フィギュアスケート・GPS戦は国内ではTV朝日の独占中継となっているが、最近のインターネット・サイトの

フィギュアスケートHPも充実してきて、選手の競技結果の採点表や演技の動画も瞬時に見られるようになった。TV

中継を見逃す場合もあるので、まことに喜ばしい状況だ。動画プログラムも、イギリス版・アメリカ版・ロシア版・

たまに中国版など、各国言語に対応しているので、応援する選手の演技を後からゆっくりと見られるのは、ファンに

とっても嬉しいかぎりだ。一応主だったサイトの紹介をしておきたい。画像はZIMBIOより。

【 フィギュアスケートYuoTube 動画blog 】   http://www.fgsk8.com/

【 フィギュアスケートSport Navi 】   http://sports.yahoo.co.jp/figureskate/ 
              
【 Wiki 2016/2017 ISUグランプリシリーズ】https://ja.wikipedia.org/wiki/2016/2017_ISU%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA#.E6.A6.82.E8.A6.81


各国選手の素晴らしい演技を比較してみることが出来る現在の状況では、やたらに日本選手の名前を連呼して「がん

ばれ! 頑張れ!」というようなTV中継解説者(MC?)のスタンスは、ちょっとずれているような気がする。視聴者はすで

に自国を問わず世界レベルで選手の演技を楽しんでいるのに、と思うのは私だけかも知れないが。



第2戦のスケートカナダ・男子シングルでは、パトリック・チャン(カ25歳)がベテランの味を充分に見せてくれたの

が良かった。シニア戦9シーズン目、世界選手権3連覇の実績を持つ彼も、ソチオリンピック(2014年)後1年間の休養

を経て競技に復帰している。今回FS冒頭の4T+3Tジャンプを見事に決めて健在ぶりを示し、ステップ・スピンで

もレベル4の高得点を重ねて優勝し、スケートカナダ3連覇を成し遂げた。A.ワグナーしかり、P.チャンしかり、円熟

味を増したベテラン選手の演技を見られることはとても嬉しいものだ。一つ一つの確実で丁寧な演技は、熟練した

職人の仕事ぶりを見るようで楽しい。


 P.チャンのFSテーマ曲はオーケストラによる『A Journey』、ゆったりとした調べに乗って滑らかな
スケーティングを見せてくれた。第5戦の中国杯でも彼の演技が見られるが、ジャンプの細かなミス
を修正してくれば、再び表彰台に上る可能性は大だ。
 
 

カナダ杯2位の羽生結弦(日21歳) 、前戦の「オータムクラシック」(今年9月)で、ISU公認記録初めての
「4回転ループジャンプ」を成功させ、今回もSP・FS合せて6本の4回転ジャンプを組み込んだ高難度の
プログラムに挑戦してきた。しかし、転倒やミスがあり全部成功は叶わず、FSの後半は完全に息が上が
ってしまった。テーマ曲は久石譲の『Hope and Legacy』、昨シーズンのキャラクター(陰陽師)に代わ
って、自分自身の表現を追求するようなテーマだ。
 
 
今年3月の世界選手権で痛めた左足甲の靭帯、さらに高難度のプログラムを実現させるための体力、羽生にとっての
 
身体的課題は、今後の競技にも大きな影響を及ぼすと思われる。「フィギュアスケート道」を追求する修行僧の
 
ような、克己的なスタイルもわからないではないが、F.フェルナンデスやP.チャンは、もっとスケーティングを
 
楽しんでいるように見える。あまりに自分を追い込みすぎて、また身体の故障に繋がらないことを祈るが、彼はとこ
 
とん自分が満足するまでやってしまうような気もする。B.オーサーコーチもそれを心配しているというニュースも
 
耳に入っているが...昨年のGPSファイナルで叩きだした世界最高得点(SP110,95 /FS219,48 計330,43)に迫るスコ
 
アを今シーズンも出せるかは、大いに興味を引くところだ。次回は、第6戦NHK杯に登場予定。
 
 

 ▢スケートカナダ3位に食い込んだベテラン・ケビンレイノルズ(カ26歳)、4Sは失敗したものの他の2本の4T
成功させ、3回転ジャンプは6種すべて成功する素晴らしい出来だった。177cmの長身を生かしたダイナミ
ックな演技は、FSテーマ曲の『狙われた黒髪』(映画・グランドピアノより)に乗って見応えがあった。GPS戦
初めての表彰台を果たしたが、後半戦へのエントリーがなく、ファイナル戦出場は無理かと思われる。


スケートカナダ・女子シングル戦では、エフゲニア・メドべジェワ(ロ16歳)の圧倒的な強さが目立った。SP76,24

/FS144,41 計220,65 という得点は、昨シーズンのGPファイナル222,54・世界選手権223,86 に続く安定したものだ。

実際前半戦3試合で200点を超えたのは、彼女の他ケイトリン・オズモンド(206,45)とアンナ・パゴリラヤ(215,21)

の計3人だけだ。女子の競技もも、ほぼノーミスのジャンプ・200点越えの得点を達成できないと表彰台には登れ

ないという、まことにハイレベルな戦いになってきた。
 

スケート・カナダ優勝のE.メドベジェワ(ロ16歳)、2015年の世界ジュニア選手権優勝の後、昨シーズンの
シニア戦参加初戦でGPSファイナルと世界選手権を制するという驚異的な成績を残している。その勢いその
ままに今シーズンを戦っているが、3A以外の3回転ジャンㇷ゚のすべてを成功させ、その多くが片手を挙げたま
回転するという高難度技が加点に繋がっている。FSテーマ曲も映画『ものすごくうるさくて、ありえない
ほど近い』という珍しいタイトル。ドラマチックな振り付けで主人公を演じきった。次回は第4戦トロフィー
フランスに出場予定。
 
 
今回2位の表彰台に上ったケイトリン・オズモンド(カ20歳)、FSでは3A以外の3回転ジャンプをすべてを
左利きで飛び、3Lを除いて成功させた。シニア戦4戦目の彼女は、ケガで1年間の休養を経て昨年競技に復
ているが、今シーズンは調子を上げてきているのでダークホース的存在。FSテーマ曲・シャンソンの
『ラ・ボエーム』に乗っての演技は笑顔と共に愛くるしかった。次回は第5戦中国杯に出場予定。
 
 
 
 
 全日本選手権2連覇と昨年GPS2戦を優勝し、日本女子フィギュアの第1人者になった宮原知子(日18歳)は、今
シーズン初戦USクラシックを優勝して今回のスケートカナダに臨んできた。ファンの期待とは別に、ジャンプ
の回転不足やステップの減点(リンクの長辺と短辺を一杯に使わなければならない)のため得点が伸びず、3位に
留まった。私から見ても、慎重に飛び過ぎていて、回転スピードが足りず身体も回り切れていないように感じ
た。次回GPS第6戦のNHK杯出場で、どう巻き返してくるか? FSテーマ曲・ホルストの『惑星』の乗った思
切りのいい演技を期待したい。
 
<この項つづく>
 

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