2018年3月30日金曜日

城山・かたくりの里は、かたくりの群生が見頃だった(その1)。




春の明るい陽射しが当たる「城山・かたくりの里」の山斜面には、かたくりが群生し沢山の花が開き始めていた。
久し振りに見る希少で見事な眺めだった。 All Photo by TAKA




関東地区に今年2度目の雪が降った週の週末(3/24)に、相模原市緑区川尻にある「城山・かたくりの里」を訪れて

みた。実はその前の週に1度ここを訪れていたのだが、かたくりの花はまだ咲き始めたばかりで、群生する花の見

ごろは丁度1週間後になることをホームページの情報で確認しての再訪門だった。ここを紹介するリーフレットに

は、「30万株の群生地・かながわの花の名所100選」とも謳われていたので、とても楽しみだった。関東地区でかた

くりの花が見られるスポットはかなり限られるが、以前(10年以上前か?)練馬区大泉町にある「清水山憩いの森」で、

森北斜面に群生するかたくりの花を私自身は見たことがある。土地開発の難を逃れて咲き残っているかたくりの

花を見るのはそれ以来のことだ。



下向きにつぼんだ花弁が開くと、外側に反り返って立ち上がるのがかたくりの花の特徴だ。カメラマンは
゛ヂベタリアン゛となって、地上10~20㎝の高さで上向きショットを撮らないと花は撮影できない。春の陽光
に透ける薄紫の花色がきれいだった。



広い相模原平野の一角にある里山がこのかたくりの群生地だった。田圃や畑の中に小高い山があり、その北斜面に

カタクリは咲いていた。「花守人 小林一章」とリーフレットにも記されていたが、普段は篤志家の個人が農業やガー

デニングを営みながら、このかたくりの花が咲く時期のみ群生地を一般公開されているのだ(有料)。かたくりの花は

通常の薄紫花以外に、白花や黄花もあり、残念ながら黄花は時期がやや早くまだ開花は見られなかったが、山全体

に遊歩道が巡らされ、珍しい花木がたくさん植えられていた。そのほとんどが自然のままで、剪定して切り詰めら

れることもなく咲いていたのは見事だった。雪割りいちげ・雪割草・岩かがみなどの野草、紅やしおつつじ・玄海

つつじ・ひかげつつじなどのつつじ類、日向みずき・紅みつまた・だん黄梅などの中木、さくら・梅・ほうき桃各種

...遊歩道を登り下りしながら、沢山の春花を見るのはほんとに楽しかった。





開園と同時に入山したこのかたくり群生地は、まだ陽の当たらない北斜面では夜露を葉の上に残し、下向きに花弁
を垂れる花が沢山見られた。日が昇って陽射しが当たれば、徐々に花弁を反転して上向きに反り返るのだ。とても
壮観で華麗な眺めだった。



かたくりの花には懐かしい思い出がある。信州長野の高原育ちの私は、小学生の頃の授業でギフチョウ(黒と黄色の

縞模様のアゲハ科蝶)の飼育と観察をしたことがあり、幼虫を採取してサナギまで育て、成虫に羽化して飛び立つまで

を飼育係として担当したのだ。そのため、幼虫が食べるカンアオイの葉を、裾花川の対岸にそびえる朝日山の北斜面

まで週3回位採取に行った。薄暗い森の斜面にかたくりの群生地があり、その一角にカンアオイも群生していた。少々

薄気味悪い思いをしながら素早く葉を積んで学校まで戻った記憶がある。でも、そこで見た薄紫のかたくりの花は、

とても幻想的できれいだった。ギフチョウはかたくりの花蜜を好んで吸う。カンアオイとかたくりがある場所は、

ギフチョウにとっては格好の生育地だったのだろう。日本各地から、宅地開発や住宅建設のため里山が切り開かれ

ると共に、かたくりの花も多くが消えていってしまった。現在数少なく残っているこの花の群生地は、環境保全の

ために行政が動いて残してているか、個人の篤志家が頑張って残しているかしかないのだ。




昼近くなって、かたくりの花はきれいに開花した。6枚のはなびらは、宙に飛び立つ小動物のようにも見える
不思議な形だ。ユリ科カタクリ属。



雪割草の可愛らしい花も丁度見頃だった。雪国では、溶け出した雪の下から春を告げる花だ。




残念ながら見られなかった黄花かたくりの花、城山・かたくりの里HPより。同じユリ科のエリスロニウム
(北アメリカ原産の西洋カタクリ)は、黄花で日本かたくりと似ているが葉は大きい。


<この項つづく>


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