2018年3月28日水曜日

ネイサン・チェンだけがノーミスだった! ( F.S.世界選手権2018その2 男子シングル戦より)




男子シングル戦の表彰台は、ネイサン・チェン(米18歳 金メダル)・宇野昌磨(日20歳 銀メダル)・ミハイル・コリヤダ
(ロ23歳 銅メダル)の3人だった。有力選手たちが4回転ジャンプの失敗をくり返す中で、N.チェンだけがノーミスの完
な演技だった。画像はISUのHPより。




平昌オリンピック・メダリストの二人(羽生結弦とJ.フェルナンデス)が欠場した今年の世界選手権・男子シングルは、

かなり混戦状態になるかと思われたが、ふたを開けてみれば4回転ジャンパーたちは転倒に次ぐ転倒で、オオコケ試合

となってしまった。有力選手達がこんな転倒試合を見せたのも珍しいことではあるが、やや荒れた試合に終始した印象

が強かった。その中で、一人気を吐いたのがN.チェンだった。オリンピックで表彰台を逃しはしたが(5位)、この試合

のFS(フリースタイル)ではジャンプをほぼノーミスで決めて215.08の高得点(出場選手中最高得点)を叩きだし、復調の

兆しがあった。




SP(ショートプログラム)では、ジャンプの着地がやや乱れたが転倒はなく(101.94の1位)、FSではテーマ曲
「小さな村の小さなダンサー」に乗って、6本の4回転ジャンプをすべてきれいに決めて(4Sのみ着地に乱れ)、
合計得点321.40の今シーズン最高得点を獲得しての優勝だった。




試合直前の公式練習で、ジャンプの軸になる右足を負傷した宇野昌磨だったが、FSのテーマ曲「トゥランドット」
に乗った演技では、4回転ジャンプを3本(4Lo・4F・4T)失敗しながらも、後半のコンビネーションをすべて決めて
リカバーした。失敗を物ともしないその精神力は脱帽に値する。



4回転ジャンパーたちの明と暗はくっきりと分かれた。SP4位に付けていた金博洋(Boyang Jin 中20歳)は、FSで冒頭の

4Lzを転倒してからすべての歯車が狂ってしまった。すべての4回転ジャンプで転倒し3回転コンビネーションも決まら

なかった。転倒と回転不足による減点は-9点という前代未聞のスコアだった。高難度の演技を構成に組み込むリスク

は、成功した時とは裏腹に大変大きな負の結果をもたらすことを、観客は目前で見てしまった。今回のザギトワの時

と同じように、転倒するごとに観客の悲鳴がリンクに響き渡った。SP3位の好位置につけたヴィンセント・ゾウ(米17

歳)も、6本の4回転ジャンプを組み込んだプログラムに挑戦したが、成功は1本(4T)のみで他は転倒と回転不足で沈ん

でしまった。観客だって、眼の前でコロコロと転び続ける試合などあまり見たくない、というのが偽りのない心情だろ

う。テーマ曲世界を表現する華麗で滑らかな演技とは程遠い゛荒れた試合゛という印象が残ってしまった。




M.コリヤダもFSテーマ曲「プレスリー・メドレー」に乗った演技では、前半3本の4回転ジャンプ(4Lz・4T・4T)
で転倒や着地ミスはあったものの、後半で巻き返し3Aやコンビネーションを全部決めた。銅メダルに残れたのは、
彼の修復力の為せる業だった。



さて、高難度のジャンプを多くは組み込まなかった選手たちの活躍も光った。アレクセイ・ビチェンコ(4位 イス

30歳)の元気でキビキビとした演技も良かったし、4回転を一本も飛ばずに完成度の高い3回転と流麗なスピン・ステッ

プを見せてくれたデニス・ヴァシリエフス(6位 ラト18歳)もよかった。それに加えて、FSの全てのジャンプをほぼ

ノーミスで演技し3位だった友野一希(5位 日19歳)は大健闘だったと言えよう。まだ演技の完成度(GOEやPCS)は十分

とは言えないが、これからが楽しみの選手となった。来年の世界選手権出場:日本3枠も、彼の頑張りが残してくれた

嬉しい結果だった。



コーチのステファン・ランビエール(オリンピック銀メダリスト・世界選手権連覇者)の指導で成長著しい
D.ヴァシリエフスも今後楽しみな選手になってきた。



今回大健闘の友野一希、細身の身体ながらジャンプの安定性には確かな物を持っている。スピン・ステップにも
磨きをかけて成長して行ってほしい。


<この項終わり>


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