2020年2月6日木曜日

排水樋管の強化対策予算がとりあえず決まったが?(台風19号多摩川氾濫その8 補正予算)




昨年の台風19号(10/12)の豪雨による大出水によって運ばれた流砂は、今も多摩川を埋め尽くしたまま川筋も全く
変わってしまった。六郷排水樋管の前から。Photo by Jovial TAKA



昨年、このブログで連載した「調布・狛江の多摩川水路逆流」その後である。広報こまえ1月15日号の「台風19号

対応経過報告」、及び立憲民主こまえ新春号・日本共産党狛江市議団ニュース1月号などによると、先の台風によ

る浸水被害に対し六郷排水樋管と猪方排水樋管の設備強化を実施する補正予算が、狛江市議会にて全会一致で可

決した、と伝えている。その内容としては、①両排水樋管に市役所から遠隔操作できる設備を新設する。②両排

水樋管に監視カメラと水位計を新たに設置する。➂可搬式の排水ポンプを新たに4台設置する。④今回の内水氾濫

の原因調査を外部業者に委託する。というもので、合計約7,000万円の金額となる。これに加えて、浸水被害にあ

った計446世帯への支援(住宅改修支援・税の減免)を充実させていく、というものだ。



立憲民主こまえ掲載の対策内容、金額記入は筆者による。



ここで、この対策予算が妥当であるかどうかをうんぬんするつもりはないが、とにかく今後再び起こり得る多摩

川氾濫に対する防災のささやかな一歩が踏み出されたと私的には理解している。未曽有の豪雨に対して、小規模

の可搬式排水ポンプ10台(既設・新設含めて)ではとても対応できるものではないが、何もしないよりはましだと思

うしかない。また、監視カメラや水位計で多摩川の増水状況を把握し、市役所内部から遠隔操作で水門を開閉し

ようという発想も、水門を開けたままで退避してしまうよりはまだ有効であろうと推察する。

しかし、有事(堤防決壊や大増水による水門逆流など)の時に、いかに素早く的確に対応できるかは、この国に置い

ては自衛隊のレンジャー部隊や消防庁のレスキュー部隊の様に、普段のたゆまぬ訓練をしている者たちでなけれ

ばできないのではないか? と私は思っている。指揮系統と実施部隊が一糸乱れぬ行動をとって有事に対処する姿

は、地方自治体の災害対策にも大いに参考になると思う。緊急の災害が起こった時に、「想定外のことだった!」

とか、「指揮官が現場にいなかった!」(某県知事)などの言い訳を沢山聞かされている市民の一人としては、そん

な小手先の対策よりも、住民の安全を守る普段の対策と訓練をちゃんとやってもらいたいと思うのである。


このブログでも指摘したが、まずは国(国交省京浜河川事務所)と連携して、多摩川増水時の水門閉鎖の訓練を二つ

の樋門を管理する狛江市の指揮者と担当職員が、平時から定期的に実施してもらいたい。何時・如何なる時に水

門を閉鎖して、多摩川の逆流を防ぎ排水溝に繋がる住宅街への浸水を最小限に抑えるのかを、訓練することを普

段の業務としてとらえてもらいたいのだ。すでに、大増水緊急時に水門を閉じる決断を回避してしまった同じ轍

を二度と繰り返さないための、平時の備えをしっかりやってほしい。近年多発する気候変動とそれに伴う大災害

の発生には、前例がないとか、今までは大丈夫だった、というような安易な対応が困難な時代となってしまった。

また、元々遊水地や低湿地帯だった地域に、住宅開発が広がってしまった現状を考えると、その地域に居住す

る方達には、浸水被害は何時いかなる時にも起こり得るという認識も必要だろう。それは、行政がいくら努力

しても避けられないことだと覚悟するしかないのだ。いざという時は我とわが命を守ることに専心するしかない。

冷徹と言われるかもしれないが、浸水被害の可能性が高い地域に住み続けるには、それなりの覚悟が必要だろう。

それにしても、大変な時代に生き暮らしていかねばならないとの心構えが、何人にも求められるのが、避けようの

ない運命かもしれない。



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