2020年10月31日土曜日

横谷峡の紅葉と、渓谷の滝巡り(奥蓼科探訪 その1)



横谷観音パーキング展望台から見た、横谷渓谷・南面木々の紅葉とふもとの茅野市街並み。遙か向こうには、杖突峠・
金沢峠など入笠山に続くなだらかな山並み。手前には、モミジの紅葉とススキの白い穗が、澄んだ静冷な大気の中で
映えていた。All Photo by Jovial TAKA



秋の長雨と台風通過で晴天の少なかった気候もようやく落ち着いてきたので、良い日和に恵まれそうな日取りを見

て、奥蓼科に出かけてみた。きっかけは、連れが10年以上前に奥蓼科のゴルフ場にグループで来てプレーし、横谷

温泉旅館に泊まり、その折御射鹿池(みしゃかいけ:当時はよく知られていなかった)に寄って写真を撮り、油彩を描

いたことがある、という話だった。東山魁夷の著名作品「緑響く」は、この池を取材して制作されたことはよく知

られているが、私もまだ見たことがないし、奥蓼科の紅葉見がてら出かけてみよう、ということになった。近隣の

宿を旅行サイトで調べていたら、創業100年の老舗旅館があるし、温泉も料理も良さそうということで、空いていた

一部屋を予約して出かけたてみた。折から、Go To Travel のキャンペーン対象というので、宿泊代割引と地域振興

クーポン(商品券)も利用できるというので、とても割安で快適な旅行ができた。




横谷峡(渓谷とも呼ぶ)遊歩道入り口付近の楓紅葉、出かけた日の雲一つない快晴の空をバックに、見事な色に染ま
っていた。やはり、きれいな空気と寒暖差のある高原では、紅葉の色がひときわ美しいのを実感。



当日のルートは、中央道を調布から諏訪南まで、八ヶ岳エコーライン → メルヘン街道を経て横谷温泉までとわかり

やすい道のり。横谷峡遊歩道を歩いて紅葉観賞と滝巡り、昼食後ゆみち街道を辿って御射鹿池に寄り、宿の渋辰野

館着というドライブだった。横谷温泉入り口に観光案内所(蓼科中央高原)があるので、遊歩道マップや蓼科地区の観

光案内マップをもらい、早速滝巡りに出かけた。トレッキングシューズを持参してきたのだが、観光案内所のお兄

さんによれば、「そんなに険しい道じゃないので、ウォーキングシューズでも大丈夫。」というので、そのまま履

き替えずに歩いてみたが、一部登りの急な場所や足下が悪い箇所もあったので、しっかりしたシューズの方が良か

った気もした。




横谷温泉入り口から登っていくと最初の滝が「乙女滝」、高低差15mの落水を見上げると爽快な気分になる。滝の
直下まで行けるので迫力も満点だ。快晴の青空が天高く続いていた。




霧降(きりふり)の滝は、渓谷の底にあるので日が差すこともなく、静かに流れ落ちていた




おしどり隠しの滝へは、遊歩道をまっすぐ登り、王滝・横谷観音下を経て行くコースもあるのだが、長時間かかる
ので霧降の滝から引き返し(往復2時間ほど)、渓谷南側の御射鹿池まで車で移動した。坂を下った明治温泉旅館脇
あるこの滝が、一番見応えがあった。30m以上の落差が階段状に続く岩盤を流れ下る様は、なかなか見られない
貴重な情景だった。




横谷峡は、文字通り渓谷の底を渋川が流れ下る急流ゆえ、ほとんど日が差さないので、陽の当たる北面を除き紅葉
がまだ早かった様だ。しかし、各所に点在する楓の紅葉は素晴らしく、その紅に染まった葉色を堪能できた。



遊歩道の所々に、「マイナスイオン20,000」とか、「マイナスイオン15,000」などの案内板があり、空気の清浄さ

とオゾンの多さを謳っていた。滝を巡ってのウォーキングは、とても快適だった。折からの快晴と青空の下、コロ

ナ籠りの日々をちょっと忘れて、とてもリフレッシュ出来た。観光客の多い蓼科湖周辺のスポットやリゾート地区

と違って、渋川沿いにはわずかに古い温泉旅館が点在するのみで、横谷峡を中心とする奥蓼科のたたずまいは、な

かなか好感度が高かった。それは、この後の項で載せる温泉宿の薬湯の魅力にもつながっているのだ。団体バス旅

行客に占領されて食事が出来なかった蕎麦屋を避けて、御射鹿池に移動の途中で雰囲気の良いベーカリー・レスト

ランを見つけて昼食をとったが、焼きたてパンと高原野菜・コーヒーがとても美味しかった。Epi(エピ)という名

だったが、また寄ってみたいと思った。室外の開放された席は、中高年のカップルや家族連れで賑わっていた。よう

やく人々が出かけ始め、お店も宿も商売が動き始めたのを感じた。





渋川は、鉄分を多く含んだ水質のため川底は茶色が強く、強い岩盤を流れ下る川相のため大小の川石も少ない。川魚
の生息には誠に厳しい環境のためか、時折流水の溜まりを覗いてみても、イワナやヤマメなどの渓流魚の姿も見られ
なかった。この川の上流域での釣りはなかなか難しいだろう。



一枚岩の滝、という名の場所もあるのだが、林間から見える川筋もほとんどが岩盤の上を流れ下る水流だ。このよう
な渓流はとても珍しいものだ。




 □遊歩道脇の崖からしたり落ちる湧水のしずく、たまたま南側の山並みを超えて午前中の光が差し込んできて、しずく
がはっきりと見えた。帰り道では光線の加減で、この光景は見ることが出来なかった。貴重な画像かもしれない。



<この項続く>



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