2021年3月11日木曜日

早春の甲斐路・小旅行(その2. 会席膳を堪能する)




「今月の会席膳」の強肴(しいざかな:メインディッシュのこと)は、「甲州ワインビーフのロースト 燻製野菜 いぶり
がっことチーズのソース」、モモ肉とサーロイン2種の味はとろける様に美味しかった。ワインを絞った後のぶどう
粕を飼料に加えて育てる甲州牛は、赤身の美味しさが際立つブランド牛だ。赤ワインは、本日のワイン(プレミアム
・メルロー & カベルネ)、蒼龍葡萄酒製だった。滑らかでコクもあり美味。お肉を配する横長の器は、ワイン樽の板
を再利用。こんなところにもセンスがうかがわれる。 All Photo by Jovial TAKA




今回の小旅行のきっかけとなったのは、連れの知り合いが山梨県東部のワイナリー・ホテルに宿泊し、温泉を楽しみ

に出かけた、ということだった。昨年の近場旅行は、八ヶ岳南麓や西麓(奥蓼科)に出かけてとても楽しかったし、自宅

から1~1.5時間ほどで現地に着けるので、車でのアクセスはとても良い。まだ、桜や新緑の時期には早いので、゛オフ

シーズンの温泉にゆっくり浸かってきたいね゛ということで宿を検索していたら、露天風呂を存分に楽しめるこの老舗

旅館がヒットしたのだ。昨年の奥蓼科の゛信玄の薬湯゛も、同様にして見つけたもので、まことにインターネットの

検索が便利になっているのを感じるものだ。コロナに感染しない・させない(ドア・ツー・ドア、車での移動、人が密

な場所は避ける、マスク・手の消毒はエチケット)などの心構えはもちろんのことだった。




最初の1品は『八寸』(はっすん、前菜を八寸角の白木器に盛って出される)で、7種の山海珍味(地元食材中心)の盛り
合わせだった。目移りがして困ったが、各品とも量が少ないのでサクサクと食べられる。料理長碓氷氏の創作料理の
粋は、料理名にも表現されていて、会席膳のお品書きを見ながらゆっくりと味わった。合わせた白ワインは「甲州ド
ライ」、シャトー酒折ワイナリー製の逸品(伊勢志摩サミットでランチワインとして提供された)、フルーティーな香り
爽快な酸味がバランスよく味わえた。




八寸の7品を挙げると、「身延湯葉風呂吹き」(左上、器の底!?)・「鮑の煮貝 肝ゼリー」(右上)・「甲州地鶏射込

牛蒡」(真中左)・「馬肉と木茸のナムル」(真中右)・「胡桃餡かけ」(左下)・「干し柿と清里ゴーダチーズ博多」

(下真中)・「市川の大塚人参奉書巻」(右下)。格式の高い日本の和式料理(会席料理・茶懐石・懐石料理)の一端を、

この老舗旅館で味わえることを事前にさほど意識していなかったので、「喰い切り」(一品づつサービスを受けなが

ら食べてゆく)で次から次へと出される料理を、おいしいワインと共に味わえるのは、至福の時間だった。一品毎の

量は少なく、また味付けはいくつかの味が交わったさっぱりしたものなので、もたれることもなく食が進んだ。料

理長のアイデアや食作りの技の冴えを感じながらも、方や盛り付ける器の種類や色・柄も選び抜かれたものだった

ので、料理と器とお酒のハーモニーを存分に体感できた。




2品目は『椀物』、「えんどう豆摺り流し 胡麻豆腐 車海老 神馬藻」3食材の旨味がさっぱりとした豆汁と溶け合って
美味しくいただけた。



3品目は『御造り」、信州サーモンと鮪・鯛のお刺身だったが、最近各種信州サーモンの身味が引き締まっている
ので、刺身も美味しく食べられる。従来のベタっとした柔らかさがなくなっているのは好感だ。



4品目は『焼き物』で、「尾長鯛の松の実焼き しし唐 レモン」(右 信州赤味噌焼き乗せ)・「青海苔と梅の実ゼリー
 唐墨大根」(真中)・「芹・蕗の薹の淡雪蒸し」(左 卵白の淡雪)、単純な味付けは一つとして無く、調理へのこだわりを
感じる。白木台の器も爽快感溢れる。



つづく5品目は『蓋物』、「葱鮪(ねぎまぐろ)の銀餡かけ 蒟蒻(こんにゃく) 南瓜(かぼちゃ) 椎茸 柿の木耳 ねじり梅」
だが、ポリュウムのある揚げ物(天婦羅など)がない替わりに、鮪は衣をつけて揚げたてだった。鮪の下にも他の具が
隠れていた。



この後6品目に、冒頭の「甲州ワインビーフのロースト」が出され、次に『お食事』地元産「武州米こしひかり」と

『止椀』の「赤出汁仕立て味噌汁」・『香の物』(粕漬け)が出された(7・8・9品目)。武州米の美味しさはもう何度

か頂いているので、粒の立った炊き立てをゆっくりと味わった。最後は、『デザート』の「本日の水菓子」、〆て

10品の会席膳だった。



デザートは、イチゴ・デコポンの果物とパイナップルの水菓子、さっぱりと甘く爽やかな締めとなった。




早朝、露天風呂に行くには、湧き水を湛えた池の上の回廊を渡っていく。右側奥に露天風呂があり、左側奥には
食事処がある。広い敷地内には夏期専用の温水プールもあって、奥行きのある広い空間は、老舗旅館ならではの
ものだ。平屋と2階建て(客室)だけなので、圧迫感がなく、とても寛げた。





朝食の品々を、炊き立て武州米コシヒカリと赤出汁味噌汁で頂いた。品数とそれぞれの少なめのポリュウムは、

年配者には嬉しい配慮だ。昨晩の会席膳と朝食、すべてお腹に収めても何ら膨張感も無く、快適な食事だった。


<この項つづく>



0 件のコメント:

コメントを投稿