2009年4月19日日曜日

世界フィギュアスケート国別対抗戦 2009

国立代々木競技場第一体育館で開催された「ISU World Team Trophy 2009」の最終日(4/19)は、競技をすべて終えた後のエキジビション・デイであった。出場(出演?)選手は個人が13名、ペアが12組24名の計37名、世界ランキングトップの顔ぶれが揃った豪華メンバーだった。
オリンピック大会、世界選手権、四大陸選手権、GPシリーズNHK杯、全日本選手権、世界ジュニア選手権など、様々な競技会があり、基本的に個人(ペア)の競技なのに、゛国別対抗゛というのは良くわからない面もあるが、今回が第一回目の開催とか。まあ、フィギュアスケート・ファンの私にとっては素晴らしい選手たちの演技が見られるのであるから、冠はどうでも良いのであるよ!





ペア2位の川口悠子&アレクサンダースミルノフ(露)の2人、この日は「ドナウ川の漣」に乗ってすばらしいペア演技を見せてくれた。
ここに載せた画像は、すべて゛毎日JP゛のスポーツニュースから転載している。You-TUBEの動画は、テレビ朝日からのクレームですべて削除されてしまった。また、AFPBや時事通信のニュース画像もコピー防止がかかっていて掲載は不可能だ。  All Photo by Mainichi JP
フィギュアスケートの魅力、ということでは、一般的にはジャンプ・スピン・ステップシークェンス・スパイラルなどの技術面と、それらを組み合わせて如何に滑るかという構成面があり、実際にその2面が得点評価になっている。だから、安藤美姫が4回転ジャンプに挑んだとか、エバン・ライサチェックが凄い速さでスピンした、とかに話題が行きがちだ。また、女性の場合はコスチュームに粋を凝らし、美しさを競い合うのも見所がたくさん。しかし、私が゛フィギュア゛の一番魅力と思っているのは、あるコンセプト(テーマや趣向と言ってもいい)を持った音楽に添ってすべてが演技される、ということに尽きる。



















□ □□□左:個人5位の安藤美姫、この日は女性ヴォーカルのバラード曲「I Believe In Me」に乗って滑走、柔らかくしなやかな女性像を表現。ミキティもおんなの魅力を体現。
:個人首位のエヴァン・ライサチェック、前半はラップダンス、後半は「ラプソディ・イン・ブルー」、軽やかで切れのいいステップ、長身を生かしたダイナミックなスピン、高いジャンプ、それらをつなぐ流れるようなフィギュア(氷面に描かれる滑走図形)、どれをとっても見る人を堪能させる演技だった。

実際の採点基準の中には、゛振り付け゛や゛曲の解釈゛などの要素もある。曲の構成は、選手の演技のメリハリ(緩と急、跳躍と曲線滑走など)や見せ所に合わせてかなり高度にアレンジされている。だが、まずどんな曲を選ぶかで基本的な方向は決まる。クラシック、民族音楽・・・タンゴやシャンソン、カンツォーネやロシア民謡、オペラ曲、POPS、D'Wappやロックンロール...あらゆる音楽ソースの中から自分演技と表現にふさわしいイメージを持った曲が選ばれるのだ。゛曲想゛がとても大事だ。
4日間の開催日(4/16~4/19)の中、最終日・エキジビションデイを選んだのも、競技を終えた選手たちの一番自由で伸びやかな演技が見られる日だからだ。実際、ビアソラの「リベルタンゴ」に乗って、ヨー・ヨー・マのチェロとバンドネオンの華麗な響きを友として舞った鈴木明子(怪我から復帰して再び活躍しだした)の滑走は、哀愁と情熱に満ちていた。ロシアのアイスダンス、ヤナ・ホフロワ&セルゲイ・ノビッキイのペアは、「ホテル・カルフォルニア」を選んでの演技だったが、表現にメリハリが乏しくいまひとつ乗れていなかった。
右上:個人首位の浅田真央、この日は赤と黒のコスチュームで、タンゴ「Pur Una Cabeza」に乗って舞った。次々とジャンプを決め、コンビネーションも鮮やか。ステップの変化も多彩で軽やか、ダンスや手・表情の表現に一段の進歩があり、とても楽しませてくれた。
右下:アイス・ダンス首位のタニス・ベルビン&ベンジャミン・アゴストのコンビ、この日は「Keeping Believe Me」のデュエット曲で登場。男と女の歌い上げるようなラブ・バラードと2人の息のあった演技はぴったり、思わずためいきが出るほど。
下:キャシー・リード&クリス・リード(米)の姉弟コンビ、アルビノーニの「Adagi0」で、ゆったりとまた、きびきびと演技。やはり、姉弟のきれいなコンビネーションは見ていて気持ちがいい。 
三時間にも及ぶ演技は、最後の四人に対して観客から次々とアンコールの拍手が鳴り止まず、また、選手もそれに応えて短いながら再び登場して氷上を舞うという、とても素敵なものだった。選手の素晴らしい演技に対しては、その場で大きな拍手が巻き起こり、選手も表情と動作でそれを受ける.....競技というよりは、観客とともに演技を楽しむというエンターテイメントの世界を感じた。過酷な肉体トレーニングとスケート技術の修練の先にあるものは、3~4分の時間枠の中で音楽に添って如何に美しく自己表現をするか、という゛美の探究゛世界だ。これは、歌と演奏で自分を表現する音楽と合い通じるものがある。芸の道は深い。














右:今回は出演しなかったが、私の好きな選手、中野友加里。また素敵な演技を見たいなぁ!

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