▢富士三景① 富士宮市の稲子から山道を走り桜峠を越えて柚野に出た途端、前方に現れた富士山の雄姿。快晴の紺碧
色の空の下、冠雪した5合目付近まで白い頂上と群青色の山裾が、美しい稜線を見せていた。今まで見た富士山の中
でも最高の山姿だった。感激!!
下部温泉宿の温泉と料理を満喫した後、2日目の朝は早めに宿を出発した。宿の女将とスタッフが見送ってくれたが、
最後まで行き届いたサービスを実感した。出がけに、下部川にヤマメが生息するのを聞いて詳細を聞きたいと言った
ら、宿向かいの理容室で遊漁券の扱いがあり、店主が詳しいというのでちょっと寄ってみた。透明度の高い清流の
管轄は富士川漁協であり、数キロ先の上流集落までと下流富士川との出会いが釣り場とのこと。出かけるついでに
しばらく上流に車を走らせて、川の流れと渓相を見てみた。小さな川だが要所要所に渓流魚が居つきそうなポイント
があったので、またの機会に竿を出してみたいものだと思った。
▢富士三景② 柚野の田園地帯を通過中に、建物も電線もない一角を見つけた。南東の方角から見る富士山は初めて
のことだが、その美しい稜線がひと際鮮やかだった。美しい!! 画面右隅には車を止めて撮影中のおじさんカメラ
マンが若干一名。
今日のドライブコースをどうしようか? と連れと相談し、北上して300号道路(通称:本栖みち)を行くよりも、一旦南下
して富士宮市の稲子まで行き、そこから北上して富士五湖を目指す方が面白そう、ということになった。富士川とJR
身延線に挟まれて南下する県道10号線は、通称「富士川・身延線」と呼ばれているが、道中信号も少なく(あるのは、
JRの駅近辺のみ)富士川の広い河原と清流を見ながら走るのでとても気持ちのいい道路だった。「気持ちいいねえ、田舎
道は!」と言いながら、快晴で雲一つなく晴れあがった空の下を走り続けた。主要道路は富士川西側の52号道路なのだ
が、こちらを選んだのは正解だった。南部町を抜けて、JR稲子駅から北上し469号道路に入り、稲子小の先で狭い山道
に入り山越えした。桜峠を下ってすぐに開けた田園地区に入った途端、前方に富士山の雄姿が突然現れた。快晴の空の
下、冠雪した頂上と山裾のきれいな稜線を見て息を飲んでしまった。こんなにきれいな富士山の姿は生まれて初めて
だった。そしてこれが、この旅のハイライトだった。その日一日中、富士山の南側から西側・北側へと、変わりゆく山
姿を随所で眺めることになった。何ともぜいたくな旅を経験したものだった。
▢富士三景③ 冬の花「木立ダリア」(別名:皇帝ダリア)と富士山との珍しいツーショット、私にとっても初めての
撮影シーンだった。花の青みがかった薄紅色と山頂冠雪の白、そして紺碧の空色のコントラストがきれいだった!!
その後、富士山裾野の平野道を通って、柚野から田貫湖(人造湖で富士五湖には入らない)に寄り、朝霧高原を抜けて
本栖湖へ。そして、精進湖(しょうじこ)・西湖へと廻ってみた。河口湖と山中湖を加えて富士五湖となるのだが、両
湖へは度々訪れているので今回は寄らず仕舞いだった。西湖でそろそろお腹も空いたので、湖畔にある小さなレスト
ランに寄ってみた。普通の食堂という感じだったが、2人でうどんを頼んだところこれがとても美味しかった。ほう
とうに似たやや太めで堅打ちのうどんだったが、もちもちしていて食感が良かった。店内にはジャズがBGMで流れ
ていてゆったりした心地良さだった。
▢田貫湖畔の紅葉もきれいだった。快晴ではあったが北風が強く寒い日でもあったが、湖畔ではヘラブナ釣りをする
釣り人が10名ほど釣り糸を垂れていた。
▢田貫湖から真東に、「大沢崩れ」と呼ばれる岩石崩落の亀裂が真正面に臨める。年々亀裂が大きく深くなっている
というが、この角度からの眺望が、一番険しい富士山の姿だ。何年か後には富士山の姿も大きく変わってしまうか
も知れない。ただし、その頃には私はあちら側に逝ってしまっているだろうが。
▢精進湖に寄ったのは昼時をやや過ぎた時刻だったが、西北方向からの富士山の姿はやや影っていたし、午後の空も
大気に霞みが出始めていた。稜線もややいびつな感じがしている。山高帽氏の私のスナップを一枚撮ってもらった。
Photo by HI
食べ終わって会計をするときに、ふとテーブルにセットされた小さな人形たち(ミュージシャン)を見つけてびっくり
した。音楽に合わせて、小さな人形たちが各パートの演奏動作をしているのだった。店主のおばさんによると、10
年ほど前におもちゃメーカーのバンダイで発売されたものを五万円ほどで購入したとのこと。オリジナルのメンバー
(Pf/Gt/Sax/Dr/Ba/Tp)の6人にVoの女性を加えたのだが、限定2,000セットの発売(Kenwood製のアンプ付き)だったそ
うな。今では入手困難で、ネットの中古販売では18万円ほどのプレミアム値が付いている、と話してくれた。丁度
演奏曲が「シャドゥ・オブユア・スマイル」だったので、しばしそのクリアなサウンドと精巧な人形の動きを見て
楽しんだ。ついでに動画も撮影させてもらった(YouTubeに何本かの投稿動画もアップされている)。富士五湖の西湖
で、こんな不思議な体験ができたのはとてもラッキーだった。
▢バンダイ社製の「Little Jammer Pro」のミュージシャンたち、人形は約15㎝の背丈だ。音楽に合わせた動きは
とても精巧で、思わず笑ってしまうほど楽しい。
連れが忍野八海をまだ見たことがないというので、帰り道にちょっと寄ってみた。私が20年程前に訪れた時は、富士
山の湧き水がこんこんと湧きでる池に、ニジマスが悠々と泳いでいて、鄙びた中にも神秘的な趣があった。ただし、
最近は観光客も増えているから人出が多いかもしれないね、と話ながら到着してみると、あにはからんや! 駐車場は
車やバスで混んでおり、売店や飲食店が軒を並べ、東南アジアからの旅行客がアイスクリームなどを頬ばりながら
闊歩していた。ヤレヤレ、とてもゆっくり見てなど居られないね! と早々に退散した。帰路は下の139号道路を走り、
都留と大月を抜けて中央道に入り、調布で下りて夕刻には自宅に戻った。
晩秋の下部温泉と富士五湖を巡るドライブ旅行は、好天に恵まれて快適だった。2日目は雲一つない秋晴れの下、
富士山の眺めを満喫しながらの旅だった。時折交代しながらの車運転だったので疲れもさほどなかった。下部温泉
の温泉浴と会席料理も堪能できた。走行距離は計450㎞、HIさんの愛車Honda Fitは何のトラブルもなく、山や野
をスムーズに駆け巡ってくれた。冬の季節に入る前の楽しい旅だった。
<この項終わり>
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