2008年10月3日金曜日

再会のバラ寿司

ONDENママさん特製のバラ寿司 Photo by TAKA
KMさんが、息子の婚礼でカナダのモントリオールから里帰りし、しばらく日本に滞在するのを機会に、学生時代の有志仲間が集まって一夜会食をともにした。私たちは、四谷のキャンパスで一緒にフランス語とフランス文学を学んだ。創設された学科の第一期生ということで、神父のフランス人教授と日本人教授たちの熱意はすざましく、当時としては珍しかったラボラトリーを使ったフランス語の発音と会話・文法のしごきは強烈で、毎日授業とレポートにふうふう言っている日々であった。
14名の仲間たちは、このキャンパスで青春時代を過ごした。もう、卒業してから30数年経っているが、学園紛争があった当時の懐かしい思い出や、現在の暮らしぶりについて話が飛び交い、懐かしくも楽しいひと時を過ごした。KMさんたちが蔵王でスキーを楽しんだこと、ドクターストップでお酒が飲めず半年振りにビールを飲んだCHさん、実家の作り酒屋と自ら経営してきたプレス会社を今後どう切り回すかの難題に直面するAKさん、現在ハワイの大学で教鞭をとっているHRさん、母の介護のため関西の実家と千葉の自宅を行き来するYOさん...等々。当のKMさんは、フランス系カナダ人の夫と再婚しモントリオール住んで20年になると言う。
この夜の会場となった゛原宿ONDEN゛は、この辺りが江戸から明治にかけて「隠田村」と呼ばれていた由緒ある名前を継いでいて、前身は日本料理店であった。1階のお店とは別に地下の和室もあり、当時首相で近くに住んでいた宮沢喜一氏や政財界の要人がお忍びでこの店の料理を楽しんだと聞く。現在はランチタイムは近所のサラリーマンや若者で賑わい、名物のカレー料理が人気だ。夜はママさん特製の家庭料理とプロのライブ演奏が楽しめる。私の音楽仲間が月に一度集まって、ボサノヴァの演奏と歌を楽しむ道場として使わせていただいている。
ママさんの料理も気合が入っていた。食材が新潟など産地直送のいい物を使っているのが嬉しい。当夜のメニューを挙げてみるが、お酒で記憶もあいまいだったので間違いがあったらご容赦を!まず、シャキッとした歯ごたえの茹でた新潟産枝豆、車海老の素揚げを塩味で(海老を真っ直ぐに揚げるのはコツが要る)、生鮭のマリネを野菜とともに、大根とガンモの煮付けはやや濃いしょうゆ味だった。次に、新潟産の根菜(ママさんも名前を忘れたので不明)のマヨネーズ和えはねっとりしてコリコリとした触感で不思議な美味しさ、小振りの鰆のチーズ焼きは水っぽくなくまた油濃くなく柔らかなお味、若鶏のから揚げはレモンを振って。メインは、見た目も美しい特製バラ寿司、皆からも歓声が上がった。酢飯と具(錦糸卵・レンコン・薄紅しょうが・椎茸・隠元・車海老・粒イクラなど)が一体となり、味と色彩のハーモニーを奏でる逸品だ!!やはり、料理はもてなしの心が第一だと改めて感じる。

プロのギタリスト・荒木さんにアコースティックな曲を演奏してもらい、柔らかなサウンドをB.G.Mに歓談が続いた。私のウクレレ伴奏でKR氏が懐メロ(旅人よ・いい日旅立ち・恋のバカンス)を歌ったが、皆は話に夢中でほとんど聴いていなかったようだ。私とKMさんは、ウクレレを介して当時ちょっと交流があったが、ご本人はすっかり忘れてしまったかの様子。

そけぞれの人生を歩む仲間たちだが、時折集まって元気な顔を見せ合えるのはこころ嬉しいひと時だと思う。もちろん、美味しい料理と飲み物(そう言えば、半数はノンアルコールだった)、そこにくつろげる音楽があり、こころ熾きない歓談があり...仲間たちは、またの機会を楽しみにしつつ、小雨降る原宿の街を三々五々家路についていった。

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