2012年11月27日火曜日

フィギュア・スケート グランプリ・シリーズ NHK杯を見て



男子シングル、女子シングルで、金・銀メダルを獲得して表彰台に乗った4選手
左より、高橋大輔(銀)、羽生結弦(金)、浅田真央(金)、鈴木明子(銀)のワン・ツー・フィニッシュ!
ここに掲載した画像は、Zimbio のHPからのものであることをお断りしておきます。
ISU(国際スケート連盟)が主催するグランプリ・シリーズ(GPS)の第6戦は、NHK杯のタイトルを争うフィギュア・スケート・シニア選手権、宮城県の゛宮城セキスイハイム・スーパーアリーナ゛で開催された(11月23日~25日)。この後、12月5日~9日まで、ロシアのソチ(次回の冬季オリンピック開催地)で、グランプリ・シリーズのファイナル戦(GPF)が行われ、今年のGPSチャンピオンが決定する。これとは別に、来年の4月に、世界選手権がカナダのオンタリオ州・ロンドンで開催され、2013年の真のチャンピオンが決まる。フィギュア・スケート競技はこの二つの競技会を中心に回っているが、四年に一度のオリンピック大会は、世界選手権と同等の高い栄誉を与えられていて、表彰台に上った選手はランキング・ポイントでも、高い資格を獲得できる。

 ざっと、フィギュアスケート競技会の概要を述べてみたが、今回のNHK杯は、まだシーズンの途上であるし、この競技会の勝者が真のチャンピオンだとは言えない。しかし、GPFと世界選手権の勝者は、世界各地で6回開かれるGPSの上位成績者から必ず生まれるから、今後の展開を予想する意味でも、今回表彰台に上った選手にはやはり注目せざるを得ないと思う。

女子シングルの鈴木明子(銀メダル)のフリー演技は素晴らしかった。「シルクド・ソレイユの゛オー(O)゛」のメロディに乗って、スピードに乗ったジャンプを次々に決め、スピンも優雅、ステップの切れも良く、全体の演技構成点(プログラム・コンポーネンツ)も、素晴らしく個性的でレベルが高かった。126,62 という高得点をたたき出したのは、スケーティングの技術レベルの高さもさることながら、「かわせみ」をイメージした艶やかな衣装と、視線や指先の動きまで意識された゛世界観の表現゛にあったと思う。観客を惹きつけるエンターテイメント性でも抜群だった。

私は余り詳しくは知らないのだが(ショーをまだ見たことが無いので)、ラスベガスの高級ホテルでロングラン・公演されている、シルクド・ソレイユのショー「O(オー)」は、絶大な人気のためプラチナチケットで入手困難とのこと。You-Tubeでその公演の一部を除いてみたが、サーカスとシンクロナイズド・スイミングとジムナスティックとダンスを総合した舞台で、見る人をその世界に弾きこんでしまう驚異のパーフォマンスだ。その舞台のテーマ曲は、水をイメージした不思議な魅力を持つ゛ヒーリング系゛のインストゥルメンタルな曲。この曲に乗って滑るのを選んだことも、鈴木明子陣営のセンスの良さを感じさせるものだし、彼女のイメージにとても合っていた。

片や、今回僅差金メダルの浅田真央、苦しんだ作シーズンとは違い、スケートを楽しむ雰囲気が伝わってきてよかった。特に、ショート・プログラム(SP)の演技は、ガーシュインの「I Got  Rhythm」をジャズ・ストリングスでアレンジした曲がテーマ、ジャンプ・スピン・ステップのバランスも良く、安心して見ていられた。表情や仕草も、明るくリズムカル、とてもキュートで可愛らしかった。少女から大人へ向かう転換期なのだろうか、身体もややふっくらしてきたし、頬のやわらかさも出てきている。フリーのジャンプに課題が残ったが、低迷から抜けだして、これからの活躍を予感させる今回の演技だった。

GPS初めての銅メダル、19歳の長瀬未来(米)の成長振りにも眼を見張った。SPは、「ダウンヒル・スペシャル」のデキシーランド・ジャズに乗って滑ったが、スピンが抜群の出来だった。レイバックもビールマンも、回転のスピードや演技の切れがよく、2位に付けた。フリーでもバランスのよい演技でノーミス、3位の高得点だった。今後の課題は、彼女ならではの世界観を表現できるテーマか? 観客を魅了する鍵を握ったら怖い存在になると思う。

今回私が注目した選手は、ロシアのクセーニャ・マカロワ、その美しく優雅なスケーティングには魅せられた。SPでは、「マリア・アンド・ヴァイオリン・ストリングス」のピアノ曲に乗って滑ったが、ダブルの3回転を決め、スピンもとても綺麗だった。レイバックもビールマンも、世界一と言われたあの゛アレッサ・シズニー゛を髣髴とさせる出来だった。惜しくもフリーでジャンプを失敗し、表彰台に上れなかったが、今後の成長を予感させてくれるおなじ19歳だ。
少し気になったのは、故障の左臀部をカバーする膏薬(?)がとても大きくて、長身の美しい肢体とアンバランスだった。何か、もっといい湿布薬がなかったのか!?


2012年世界選手権覇者のカロリーナ・コストナー(伊)の姿は、今回のリングには無く、また、2011年と2007の世界選手権覇者の安藤美姫は、コーチ不在のためGPSを欠場した。この所の世界選手権で上位にいたアリョーナ・レオノアの姿もなく、昨年シーズンを負傷のため不振だったアレッサシズニーの優姿もない。スケート・リングを湧かせてくれた選手達がいないのはやや寂しいが、若手選手の台頭もまた楽しみなので、各選手の競技に注目していきたい。

 私の予想では、GPSのファイナル戦では、スケートアメリカ(シアトル)とエリック・ボンバール(パリ)優勝のアシュリー・ワグナー(米)と、中国杯(上海)とNHK杯優勝の浅田真央の一騎打ちになるだろう。そこに、ロステレコム杯(モスクワ)を制したキーラ・コルピ(Fin)とスケートカナダ、NHK杯ともに2位の鈴木明子がどうからむかだ。フロッグは無いと思う。やはり、シーズンを通じて安定した成績を残してきた選手が、表彰台に上るだろうと予測できる。
2009年世界選手権優勝でオリンピック・チャンピオンのキム・ヨナ(韓)の出場が伝えられているが、果たして長い休養のあと再び表彰台に上がれるだろうか?
ファイナル戦を、またTVで楽しみたいと思う。

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