2013年11月14日木曜日

フィギュア・スケート ISU GPS 男子シングルより



男子シングルの表彰台は、高橋大輔(日・金)、織田信成(日・銀)、ジェルミー・アボット(米・銅)の3人だった。
 All Photo by Zimbio
今シーズン(2013/2014)のGPS・男子シングル戦で表彰台に上がった有力選手を見ると、パトリック・チャンは相変わらず健在(カナダ杯・金)、高橋大輔はアメリカ杯で4位だったものの、このNHK杯を制して実力者振りをアピールした(日・金)。羽生結弦は、カナダ杯でP・チャンに次ぐ好成績(日・銀)、織田信成も頑張ってカナダ杯・銅、NHK杯・銀、小塚嵩彦はいまひとつ波に乗れずに中国杯・銅、町田樹はアメリカ杯に優勝して(日・金)ファンをうならせた。日本人選手たちの活躍と実力のしのぎ合いを横目に、アダム・リッポン(米)はアメリカ杯・銀 / NHK杯4位、ジェルミー・アボット(米)もNHK杯・銅に食い込んで、アメリカ勢の実力伯仲振りを示した。中国杯・金のハン・ヤン(中)と、銀のマキシム・コブトン(ロ)については、私自身も滑走を見ていないのでなんとも言えないが、ダークホース的存在となるのだろうか? やはり、ここ数年間ライバルとして激しいバトルをくり返してきた、P・チャンと高橋大輔のどちらかが、世界選手権とソチ・冬季オリンピックのFS男子シングルを制するのは、かなり確実性が高いと思われる。
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 高橋大輔の芸術的なスピン(左)と、織田信成の高さのあるジャンプ(右)、元気な信成が戻ってきた。

そのNHK杯での高橋大輔(日・金)の滑りは、アメリカ杯での不振をすっきりと拭うような完璧に近いものだった。冒頭の4回転ジャンプを成功させて一気に波に乗った。テーマ曲は「ビートルズ・メドレー」、ハープ・ストリングス・アコーデオン・アコースティックギターの柔らかな音色による、懐かしいビートルズ・ナンバーが会場を包んだ。曲に乗ってのメリハリの効いたステップは、現在のところ世界ナンバー・ワンだろう。スピンのスピードも申し分なく、コンビネーション・ジャンプで小さなミスがあった以外、7種類のジャンプも素晴らしかった。いわゆる芸術点というか、スケーティングの音楽表現に関しては、非常にレベルが高かったと思う。ラテンのリズムに乗っても、クラシックのハーモニーに乗っても、彼の演技は常に高レベルの評価を得ている。この調子を維持して、世界選手権とオリンピックに望んでほしいものだ。

一度不振の谷間に沈んでしまったかに見えた織田信成(日・銀)の復活は驚きだった。特にジャンプの不成功が全体に悪影響を及ぼしていた昨シーズンまでの滑りとは格段に違っていた。コンビネーションジャンプ(4→2回転)が3回転になってしまったミスはあったが、後半になってもスタミナが衰えず、次々にジャンプを決めたのはお見事。ジャンプの良さが、スピンやステップにも好影響を与え、全体に好印象のすべりだった。お馴染みの「ウィリアムテル序曲」の軽快なメロディも、演技の軽やかさに繫がっていた。



179cmの長身から繰り出すジェレミー・アボットの演技は、迫力満点(上) 

銅メダルのジェレミー・アボット(米)と、4位のアダムリッポン(米)の凌ぎあいも見ものだったが、残念だったのは、ハビエル・フェルナンデス(SP)、得意の4回転ジャンプが決まらず、スピンもステップもバランスが崩れて精彩を欠いた(5位)。昨シーズンの世界選手権・銅の彼も、今シーズンはまだ調子が出ていない。同じく・銀のデニス・テン(カザフ)は、今回の中国杯4位、アルチュール・ガチンスキー(ロ)・ブライアン・シュベール(仏)のヨーロッパ勢は、今シーズン入賞にも届いていないのだ。
今後、GPSファイナル→世界選手権に向かって、どの選手が調子を上げてくるのか? 高橋大輔とパトリック・チャンの間に誰が割り込んでくるのか? 今後も楽しみな展開が続く。

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