2014年4月29日火曜日

シルク・ドゥ・ソレイユの『オーヴォ』は、アクロバット芸術の極地だった。その②



Cirque Du Soleil OVO  from YouTube


物語は、年長リーダーの「マスター・フィリッポ」とチョウ・アリ・トンボ・クモたちが暮らす、草木の下にある

小さなコミュニティから始まる。ある朝、見知らぬ青年「フォリナー」が大きな卵を背負ってやって来た。

そして、ふと見かけたグラマラスな少女「レディバグ」に一目惚れしてしまう。初めは警戒していた住人の虫

たちも彼を次第に受け入れるが、彼の持ってきた卵は、虫たちに運び去られてしまう。卵はいったいどこへ

行ったのか? 二人の恋の行方はどうなるのか? (以上の概要はパンフより)

『OVO』とは、ポルトガル語で「卵」の意味、 3匹のメイン・キャラクターも、それぞれ虫たちのバッタの様な、

毛虫のような、テントウムシの様な、カラフルで個性的なコスチュームだった。そして、虫たちのパーフォマ

ンス(アクロバットの演目)が始まる...

開演時間のしばらく前から、客席には何処からか湧いたように、カラフルで不思議な衣装をまとった虫たち

が現れ、子供・大人の老若男女たちと身振り手振りで話したり、掛け合いをしたりして、一気に虫たちの

ファンタジー世界に導いていく演出は、楽しくて良かった。小さな子供たちも、怖々だったりビックリだった

が、大喜びしていた。


プロローグでは、ゆったりとしたボサノヴァ(Gtサウンド)と女性ヴォーカルのサンバが会場に流れた。ファン

タジーの世界への導入部にとてもふさわしい、滑らかで温かみのある曲だった。舞台では、殿様バッタたち

が、長い脚の衣装で這い回っている...

オープニング曲は『Brisa do Mar』、後で調べてみたが、ボサノヴァの同じタイトルの名曲

『Brisa do Mar』(曲:ジョアン・ドナート、詞:アベウ・シウヴァ)とは別のオリジナル曲だった。でも、とても

素敵な曲だったので、私はすっかり嬉しくなってしまった。

そして、アーチストたちの全演目の演技は、すべて舞台脇の楽団(と言っても全員で10人位)が演奏する

オリジナル曲に合わせてパーフォマンスされる。『OVO』全16曲がCD化されており、YouTubeでもその

中のほとんどの曲を聞くことができる。バンドリーダーはJ.フランソワ・ベダード(Ba)、楽器構成はドラム・

ギター・パーカッション・ヴァイオリン・アコーディオン・キーボード・オーボエ・フルート、女性ヴォーカルは

マリー・クロード・マルシャン他。このメンバー達が繰り出すラテン・サウンドは、キレが良くとてもリズムカルだ。

BaやDrの音も、PAのドルビー・システムによる大迫力で、地響きや爆発音を感じさせる素晴らしいものだ

った。生バンドの演奏に合わせて虫たちのパーフォマンスを見ることができることは予想していなかったので、

これがとても楽しかった。彼らは『Crock Roach』(ゴキブリ)と呼ばれる茶色のゴキブリ衣装を身にまとい、

舞台に登場したり脇で演奏したりするのだが、これを聞いているだけでも凄かった。


各演目を紹介するパンフレットより


Orvalho』(雨のしずくの意:ポル語)は、トンボが演じるバランス芸、ツルをデザインした細いパイプの上

で、片手で逆立ちしたり開脚したりする。青いユニークな衣装もきれいだったが、その滞空時間がとても長く


て見ていてハラハラしてしまった。


柔らかなオーボエのソロで始まる同名のこの曲は、Gt、シンセサイザー、Voを加えてゆったりと流れる。


優雅に飛ぶトンボの姿と究極のバランス芸を演じる身体のポーズがイメージで重なってとてもファンタス


ティックだった。


Butterflies』は、チョウ2匹が演ずる空中ロープ芸、たった一本のロープにぶら下がりながら互いに体を


絡ませながら、回転したり上下したり、急降下したり。まるでフィギュアのペアダンスを空中で見ているような


スリリングで華麗なパーフォマンスだった。


テーマ曲は『Love Duet』、フルートとオーボエのやわらかなデュエット演奏に、Violonのテーマ演奏が


重なり、Gtのアルペジオがバックに流れる。2匹の愛の時間を思わせるバラードだった


Diabolos』(空中ゴマ)、手に持った2本の棒に繋がるワイヤーで、コマを2つ、3つ、4つ、と増やしながら、


空中に放り投げて受け取る゛コマ回し芸゛。ホタルの衣装をまとったアーチストがコマを空中に投げ放つと、


あたかもホタル群が空で舞っているように見えた。高速の切れ技は、とても幻想的だった。

『Ants(アリたち)集団芸は、とても高度な足技組体操だった。働き者のアリたちがキウィやナス・トウモ


ロコシなどの餌をを収穫して、巣に運んで行く様を、フット・ジャグリングで見せるとともに、さらに難しい技を


組体操で見せるアイカリング・ゲームを披露したのだ。一糸乱れぬ集団芸に、私は感心してしまった。音楽


に合わせたリハを、相当数の時間でこなしてきているのを感じた。


テーマ曲はタイトルと同名だが、16ビートのサンバがとてもコミカルで軽やかでよかった。そのリズムに


乗って、EL.Gtソロと女性Voのスキャット「♪ ラヤヤ ラヨレレ~ ラヤラ ラヨレレ♪ 」が、働き者のアリたち


を楽しげに表現していた。


1部のラストはコガネムシ軍団の空中曲芸・『Flying Act』、登場・退場・落下保護の巨大なネットが張ら


れた上での演技だった。コガネムシたちは、黄金色に輝く衣装をまとい、天井から吊り下げられた中央の


スチールテーブルの上から、左右のテーブルに跳躍して飛び移って行く。それは、サーカス芸と体操競技を


組み合わせた超難度のパーフォマンスだった。「空前絶後!」とか、「前代未聞」とか、頭の中に言葉が浮か


んだが、唯々唖然として見入っていたのだった。演技が終わるとグループごとにネットの上に身体ごと落下


し、トランポリンのようにまた跳躍してネットに着地する。アーチストたちの退場セレモニー毎に、万雷の


拍手・拍手...私も力一杯拍手を送った、「ブラボー!ブラボー!」。


※演目の中で、テーマ曲のタイトルが解らなかったものは、載せてありません。CDに収録した曲とは別の


曲をテーマにしていた可能性があります。また、動画には曲の一部しか載っていないので、解らないケース


があると思われます。


(この項つづく)

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