2014年11月25日火曜日

2014フィギュアスケートGPS・フランス杯から(男子シングル)



男子シングルの表彰台は、町田樹(日・銀)、マキシム・コフトゥン(金RUS)、デニス・テン(銅KAZ)
3人、高度な4回転ジャンプの戦いだった。 All Photo by ZIMBIO


中国杯での本番前練習中・アクシデントで、羽生結弦(日)とHan YAN(中国名:閻涵エンカン)が背面衝突し、

羽生はそのフリー演技を包帯姿で滑走した姿はまだ記憶に新しいが、このフランス杯にHan YANは出場し

てきた。しかしその演技は精彩を欠いていたし、成績も8位に終わった。羽生は今週のNHK杯に出場を予定

しているが、果たして後遺症もなくちゃんと滑れるのだろうか? というのも、GPS5戦を終えてすでに、ハビエル

・フェルナンデス(ESP)はモスクワ杯を制し(金)、カナダ杯でも2位の成績でファイナル戦への出場を決め、

マキシム・コプトゥン(RUS)は、中国杯・フランス杯ともに優勝、町田樹もアメリカ杯優勝・フランス杯2位に着け、

3選手ともファイナル戦に勝ち進んでいるのだ。NHK杯には、カナダ杯を制した(金)無良崇人(日)も出てくる。

ファイナル戦の残り3枠に入る選手として、羽生結弦・無良崇人・セルゲイボロノフ(RUS・モスクワ杯2位)達

の戦いが見ものだ。すでに2戦を終えているデニス・テン(KAZ・フランス杯3位)の枠入りは微妙だが...


ここ数年精彩を欠いていたロシアの男子フィギュアスケート選手の中から

オリンピック出場枠(ソチ)をプルシェンコと争ったマキシム・コフトゥンが

表彰台を狙う選手として急速に台頭してきた。176㎝(19歳)という長身から

繰り出すジャンプは迫力満点だ。このフランス杯でも、ただ一人、4回転

ジャンプを2度成功させ、一気に波に乗った。スピンのコンビネーションも、また

ステップのシークエンスもきれいにまとめて、『エグゾジェニシス交響曲』の

ドラマチックなメロディに乗った滑りは、すべてのジャンプをノーミスでこなし、

文句なしの優勝だった。中国杯でも優勝している彼が、ファイナルで真ん中

の表彰台に上がるのも現実味を帯びてきた。











すでにアメリカ杯に優勝している町田樹にとって、このフランス杯を制した

い思いは強かったと思うが、なかなか思い通りにはいかないものだ。

ベートーベンの『交響曲第9番』(お馴染みの歓喜がテーマ)に乗っての滑走

は、細部まで神経を行き渡らせたむずかしいものだったが、やや力が入ったか?

バランスに欠けるところがあり、冒頭の4回転ジャンプ(ルッツ)で転倒し、波に

乗れなかった。気を取り直して、スピンやステップをまとめ、残りのジャンプを

うまくこなしたが、2位に終わった。しかし、゛氷上の哲学者゛と呼ばれるように、

彼のスケーティング・コンセプトは大変明確だ。昨年シーズンの『火の鳥』の

ように、曲と演技がハーモニーしてくれば、今後もより上の演技点を狙えるだろう。

高橋大輔が引退し、小塚崇彦が低迷している日本選手の中では、羽生結弦と

ともに表彰台に上がれる選手として応援したいところだ。




デニス・テン(KAZ)は、日本ではあまり良く知られていないのが実情だろうが、

実力は超一級だ。2013年世界選手権銀メダル、2014年ソチオリンピック銅

メダリスト、あのパトリック・チャンを一回り小さくしたような体躯から繰り出す

演技は、スピードとキレがあり、演技をつなぐ間の取り方も絶妙で、身体の

小さな選手のお手本と言えよう。今回のフリー演技では、『New Impossibilities』

(十面埋伏)という珍しい曲(演奏はYo Yo Ma)で滑ったが、4回転ジャンプを

2度とも成功できず、点数を伸ばせなかった。しかし、ショートの演技はトップの

91.78の高得点をたたき出して、その実力振りを見せてくれた。













GPSファイナル戦(スペイン・バルセロナ)での優勝争いは、ハビエル・フェルナンデス、マキシム・コフトゥン、

町田樹の3選手に絞られるのが濃厚だが、ソチオリンピック金メダリストの羽生結弦がどこまで巻き返すか、

また、無良崇人とセルゲイ・ボロノフがどこまで食い込んでくるのか? 興味はまだまだつきないのだ。

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