▢飯綱・大座法師池湖岸で色づいたイロハモミジの紅葉、快晴の青空をバックに色鮮やかで美しかった。
All Photo by TAKA & HI
今年の紅葉をどこで見ようかと思案していた時、やはり生まれ故郷・信濃の風景を見たいな、と言う気持ちになり、
音友のHIさんを誘って出かけてみた。心配していた天気もすっかり晴れあがり、二日間(10月26・27日)ともに
素晴らしい秋晴れに恵まれた。関東地区の紅葉の名所も素晴らしいのだが、やはり澄んだ空気と高原の風景、周りを
アルプスや高山に囲まれた信濃の風光明美さを知っていると、今一つ物足りないのだ。子供の頃遊んだ高原や池を
巡ったり、城下町の城跡や街並みを訪ねたり、千曲川の流れや堤防の景色を再訪したり、普段なかなか出来ないこと
を今回は試してみよう、という旅となった。その中には、2週間程前に突然連絡が取れた私の小学校同級生との
会食も含まれていた。
▢大座法師池は昔の佇まいのままだった。ただ、池に浮かんでいた浮島は消えていて見当たらなかった。
湖畔のカラマツはまだ紅葉が始まったばかり。黄色に色づくととてもきれいなのだが。
▢見事にシンメトリーな、湖畔の森が映り込んだ大座法師池の眺め、快晴の青空がまぶしい。
朝早くに新宿から湘南新宿線に乗り、大宮で北陸新幹線に乗り換えて約一時間で長野に着く。まことに便利に
なった。今回は「トレンタくん」(駅レンタカーと乗車・特急券のセット)を利用したのでとても割安だった。
小型のホンダ・フィットの運転はHIさんにお任せし、私は専らナビゲーター、すぐ飯縄へ向かった。道中の紅葉を
楽しみながら、坂道を登り続けて高原へと、30分程で大座法師池に到着。空いている駐車場に車を入れて湖畔
のカラマツ林を歩いてみた。カラマツの枯葉が散り敷いた林の道は、じゅうたんの様にフカフカしていてとても
気持ちが良い。足裏を伝わってくる感触を久し振りに堪能した。これが高原でしか味わえないウォーキングだ。
身体が覚えているこの感触を再び体験出来て、とても懐かしい気持ちだった。
▢岩戸屋の昼食で食べたのは「おそばセット」、手打ちのざるそばにソバ掻き・天ぷら・野菜の煮しめ
・おぼろ豆腐などがついた満腹・満足の一品だった。
▢今も変わらぬ岩戸屋の玄関口、戸隠神社中社の入口手前の急坂にある。この2枚の画像は「食べログ」の案内記事より。
標高約900mの大座法師池を後にして、広葉樹が両側に拡がる高原の道をさらに登って戸隠に向かった。朝早起き
だったのでそろそろお腹も空いたし、昼食のお蕎麦を中社の岩戸屋で食べようとの目論見だった。私は戸隠に来る
と必ずこの店に寄って、地元の蕎麦実を挽いて手打ちした「戸隠蕎麦」を食べることにしている。以前会社勤め
をしていた頃、社員の同僚が「信州ソバって、たいして旨くないですよね~!」と言われて、「何処の信州ソバを
食べたの?」と聞いたら、「えっと、立ち食いの小諸ソバですが...」との返事。「そんなもん、信州ソバでも
何でもないの! 本物の手打ちソバを食べてから御託言いな!」と、気色ばんだことがあった。岩戸屋の蕎麦は、
地元の高原畑で収穫した蕎麦実を挽いて手打ちした10割生蕎麦なので、旨さは数時間しか持たない。日を過ぎると
伸びてしまい旨さは失われる、また、打ちあがったソバは包丁切りするので、機械打ちとは違った゛ざらっとした
歯触り゛が身上だ。江戸前蕎麦の真打と言われる「砂場」や「藪」の蕎麦は、二番挽き・三番挽きしたそば粉を
打った白い色と小麦粉を少し混ぜたするりとした歯触りとのど越しが特徴だが、戸隠蕎麦のやや緑がかったソバ
色としっかりした歯触りを私は愛するのだ。誰が何といっても、戸隠蕎麦が最高だ! どうだ、参ったか! (この話は
キリがないのでここでおしまいにする。)
▢快晴の青空と戸隠山(標高1904m)、ふもとにはカラマツと広葉樹の林が拡がる。北風が吹き込んでいたので、
鏡池の水面はやや波立ち、湖に映り込んだ眺めは少しぼやけていた。しかし、素晴らしい景色だった。
▢戸隠山に連なる左の本院岳、岩肌をむき出した険しい峰の連なりと黄色く紅葉したカラマツの林、
葉を落とした広葉樹の林が、鏡池に映っていた。最高の目の保養だった。
もう、30年以上前に訪れた鏡池は、ひなびた佇まいで周りにレストランや駐車場もなかったし、バス道路から狭い
道を歩いて行った記憶があるが、鏡のように映り込む戸隠連山の眺めだけは素晴らしかったのを覚えている。昨今
は観光の名所として随分と開け、平日とは言え多くの見物客がいた。この辺り(標高1,200m)の高さになると、広葉
樹の紅葉は終わっていて、カラマツの黄色と広葉樹の赤色を一緒に見る事は叶わなかった。が、快晴の青空と戸隠山
の眺めが鏡池に映る様を充分堪能することができた。一日へばり付いているというカメラマンに、USBチップから
引っ張り出したベストショットを見せてもらって楽しんだりした。
▢池田満寿夫ギャラリーで見たリトグラフ2点、『ハートモジュールの~』(上)と『ルネッサンスの女』(下)、
小さなギャラリーだったが年代別テーマで飾られた作品が見やすかった。
高原の紅葉をすっかり満喫した後、道路の両側に拡がるカラマツの紅葉と広葉樹の連なりを見ながら山を下りた。
「やっぱり高原はいいなぁ~、空気はきれいだしオゾンはたっぷりだし、さわやかだねえ~!」と話ながら、懐か
しい思いが満たされるのを感じた。まだ日が高いので、その後今年9月に亡くなった私の兄と両親が眠る花岡平
の墓地をお参りした。ついでにということで、浅川の山の上にある墓地に眠るHIさんの両親のお墓をお参りした。
市内に戻る途中、前から寄ってみたかった「池田満寿夫ギャラリー」(画家は母校の卒業生)を訪れた。この小さ
なギャラリーは、母校(長野高校)の金鵄会館という記念館(昔の校舎をそのまま残した)の中にある。夕暮れ時に
事務室を訪ねて聞いてみたら、鍵を持って案内の女性がギャラリーを開けてくれた。収蔵作品はほとんどリト
グラフ(限定版画)だったが、教室1室分のスペースに年代順4テーマに分けて展示した作品は見やすくて好印象
だった。金鵄会館を出て車に乗ろうとしたら、丁度放課後で、授業を終えた生徒たちがぞろぞろと教室から出て
来たのに遭遇した。50年程前にここで学んでいた高校時代の生徒仲間たちを彷彿とするシーンだったので、なぜか
懐かしかった。
▢今も昔の面影を残す金鵄会館、外装はきれいになっているが、渡り廊下や教室内に置かれた机や椅子は
当時のままだった。
日暮れ時に宿泊先(Saihokukan Hotel)に着き、一休みしてから駅近くの飲食街に食事しに出かけた。今回は
朝食付きのプランをHIさんが手配してくれたのだが、部屋は広くてきれいだし、ビジネスホテル並みの割安料金
だったので、とてもラッキーだった。大門通りや権堂町などを歩きながら、すっかり変わってしまった街並み
に戸惑いつつ、以前利用したことのある飲食店を探したが、別の珈琲店に変わっていたり、店自体が無くなって
いたりしてお目当ては見つからなかった。そこで、食いものには鼻が効く私の特技で、一軒の頃合いの店を探し
た。地元の野菜と食材を料理して提供する、との触れ込みだったので入ってみた。席に着いたら案内嬢が、
「お酒は30分単位で飲み放題のシステムです。」と言うのでビックリしたが、頼んだ料理(農家の季節野菜ザル
盛り・ハーブ鶏のゴロゴロ焼・おばあちゃんのナスの油味噌・厚揚げ・野沢菜のおやきなど)は、どれも美味し
かった。郷土料理風の味付けもなかなかよろしかった。地元サラリーマンや女性グループが集まる割安飲み屋の
趣きもあるが、「地場酒場信州郷土料理」を詠った中身は、納得・満足・割安の夕食だった。ただ、飲み物は
セルフサービスなので、一杯毎に酒カウンターに出向くのはちょっと勘弁してね、と「小林農場」に言いたく
なったのだが。さて、すっかりお腹一杯になったのと、太陽の光を浴びて動き回った疲れが出て、宿に戻った
その夜はぐっすりと寝てしまった。
▢農家の季節野菜ザル盛り(上)と信州ハーブ鶏のゴロゴロ焼(下)、ともに「食べログ」の画像より。
<この項つづく>
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