2016年10月29日土曜日

白根・小諸紅葉紀行(その3)




JR小諸駅隣りに在る「懐古園」正面入り口、江戸時代末期の大洪水で門が流されてしまったのを、明治2年
に再建したもの。石垣は新しいが趣ある扁額が掲げられていた。(入園案内より)。 All Photo by TAKA



部屋の窓に朝日が当たって明るくなってきたのを機に起きてみると、東に向いた窓からは丘に沿って広がる小諸の

街並みと、二つの高い山が見えた。私は、歌友サイトウさんが作ったオリジナル曲『ビューティあだたら』を

思い出した。故郷の安達太良山は別名「おっぱい山」と呼ばれていて、二つの山の連なりが隆起する゛おっぱい゛

のように見えることを懐かしく思い出した歌だ。「なんか、似ているなぁ!?」と思いつつ、帰ってから地図をよく

見てみたら、向かって左が黒斑山(2,404m)、右が剣ヶ峰(2,281m)、その奥に山頂だけがちらっと見えるのが浅間山

(2,568m)だと分かった。下から見上げているので、浅間山は前の山にほぼ隠れていたのだ。昨日の青空とは打って

変わって空には雲がかかり、予報では午後から雨になるとTVが伝えていた。



朝6時の小諸の街姿、空には雲がかかり薄日が差していた。左右二つの山(黒斑山と剣が峰)の奥に、浅間山が
わずかに顔を出していた。


バイキングスタイルで和食・洋食取り混ぜの朝食をしっかりといただき、ゆっくりコーヒーとヨーグルトを食べて

から出発の支度をしてチェックアウトした(朝食付きで6,000円とは割安!)。車はそのままホテルの駐車場に置き、歩いて

すぐの懐古園に入った。開園の8時30分直後だったので、園内は2~3人しか入園者がいなかった。思ったよりかなり

広い敷地のあちこちには、16世紀の後半に武田信玄(縄張りは山本勘助)と仙石秀久が築いた当時の石垣が残されていて、

大小の不規則な大きさの石を積み上げたまんまが苔むしたまま残っていた。明治維新と廃藩置県の折、日本各地の

城壁と建物は取り壊されたり、石垣だけが残されたりしてしまった。後年、観光や歴史遺産の復興のため、再建された

石垣や城は多いが、上田城祉や松代城祉は、近代的な石垣で再建されたものだ。そう言う意味では、懐古園の城壁や

空堀などの保存状態は貴重なものと感じた。



天守台の石垣は、古色蒼然とした趣があり見応えがあった。「よくもまぁ、こんな不ぞろいの石を
積み上げたものだねぇ~!」


天守台から見下ろした樹齢400年のケヤキの大樹、葉が色づき始めていた。標高が高く朝晩と昼間の寒暖差が
大きいこの地では、ケヤキの葉はきれいに紅葉する。関東地区では、ただ茶褐色に変化して落葉するだけだが。


HIさんの思い出話によると、子供の頃駅近くの北国街道沿いに親戚の家があり、懐古園には良く遊びに来ていた。

その時、園内で草笛を吹くおじさんがいて、島崎藤村の『千曲川旅情の歌』をよく聞かせてくれた。 小諸なる

古城のほとり 雲白く遊子悲しむ  「あの方は、横山祖道という禅師さんだったのね~!」。最近またこれに

一つ偶然が重なって、お住まい近くの「ふるさとむら」という里村保全地区に時折スケッチに行くのだが、田圃の

中を草笛を吹いて歩いているおじさんにバッタリ会い、聞いてみたらその草笛の師匠がかの千曲川旅情の歌を吹く

「草笛禅師」だということが解り、「お互い奇遇ですね~!?」と言い合ったそうな。


園内に設けられた演奏録音再生器によって、生前の「草笛禅師」の演奏が聞けるので、ボタンを押してしばしその音

(草笛とアカペラの歌声)に耳を傾けた。「千曲川旅情の歌」は、藤村による情緒あふれる古文調の歌詞もさることな

がら、ドとソ(西洋音階のメジャー音)を極力省いた日本音階でメロディが作られており、江戸時代の謡曲のような雰囲

気を残しているのが魅力だろう。懐古園で思いもよらないエンターテイメントに出逢った気がして楽しかった。



「草笛禅師 横山祖道」氏の紹介と、「千曲川旅情の歌」の歌詞、下は音声再生器のミュージック・ボックス。




「水の手展望台」からは、藤村が眺望したであろう千曲川の流れが蛇行して見渡せた。画面左には水門が築られて
いたが、藤村が見た当時はそれもなかっただろう。川底の白石のせいか、澄んだ川水が水色に輝いていた。



園内にある「藤村記念館」の入口脇に設置された藤村の銅像(内堀功作)、「小諸は何と言っても懐古園と
島崎藤村が目玉だね~!」と話した。


さて、子供の頃や以前訪れた場所も、時を経てまた出かけてみると新たな発見や出逢いがあるものだと思った。白根

山や山田牧場もしかり、小諸懐古園も思っていた以上に面白かった。旅の目的もほぼ達成したので、帰路につくこと

にした。私の運転で141号道路(佐久往還)を南にに向かい、JR小海線に沿って山間の道を登り続けた。途中、松原湖

辺りから山々には濃い雲がかかり始め、野辺山に着いた時には細かい雨が降り出してしまった。野辺山の産地野菜

販売店に寄って一休みし、お土産に大きなブルーベリーのジャムと柿の実を買った。晴れていれば、眼前に八ヶ岳が

連なる様を見られたのに、今回もそれができなかったのはやや心残り。雨や霧のために、山姿を拝めなかったのは

これで連続3回目だ。何やら、好意を持った相手にふられ続けた気分! 「また今回、袖にされたわね!」とHIさんにも

冷やかされてしまった。

運転を代わり山を下って中央道長坂ICに行く途中、大泉町で道路脇の「定食屋 木亭」の看板を見つけ、駐車場に車を

入れて昼食にした。落ち着いた木のテーブルとカウンター席があるお店で、地元の人たちがお昼を食べたり夜食事に

来るお店らしく、種々の定食やサンドウィッチがメニューにあった。そこで、ツナサンドとハンバーグサンド(珍しい!)

を頼み、コーヒーを飲みながらのランチとした。SAのフードコーナーと違い、ゆっくり静かに食べられるのがいいな

と思った。そのまま、長坂ICから中央道に入り談合坂SAで一休みし、最後は私の運転で中央道調布IC →狛江の自宅

まで夕方早目に戻り、2日間のドライブ旅行を終えた。走行距離は凡そ600㎞、2人で交代しながらのドライブだった

ので、さほど疲れは感じなかった。高原の紅葉を堪能した楽しい旅だった。


<この項終わり>

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