2019年10月19日土曜日

調布・狛江の水路逆流と二子玉川の無堤防越水(台風19号多摩川氾濫その2.多摩川団地)




台風一過の13日昼頃ようやく減水した多摩川の流れ、河川敷の上や堤防の際まですごい早さで濁水が流れていた。流木
や草木ゴミが、堤防の1m下まで堆積しているのを確認、ここまで水が来ていたとは!! 前方右の四角い建物は、支流根川
の樋門(土手を貫通する水門)。解放されたままだったため本流からの逆流を防げなかった。怖いもの見たさの見物人も
沢山いた。中和泉4丁目水神付近(10/13)   All Photo by Jovial TAKA



12日に緊急避難指示が出ていた調布・狛江の町々を、電チャリでゆっくり走りながら多摩川堤防の上から見て廻った

のは、まず台風が去った13日の昼頃だった。あの暴風雨がウソみたいな快晴だった。私の意識は、多摩川の氾濫が伝

えられていた二子玉川地区に向いていたので、調布市と狛江市の境界にまたがっている大規模団地・多摩川団地は堤

防の上からちょっと覗いただけだった。堤防際の道路脇には泥の堆積が見られたが、あまり気にせずにすぐ二子玉川

に向かってしまった。大手TV各社の報道には偏りがあり、多摩川団地の情報はほとんどなかったからだ。しかし、4日

後の仕事同僚からの情報により、多摩川団地への浸水が人の胸辺りまで(1.5m程)あり、周辺の住宅が1階床上まで水に

浸かり、駐車場の車もほとんど天辺まで浸かってしまったったことを知った。16・17日に団地の各所を見たり地元の

人の話を聞きまわった結果、被害状況が概ねわかったのだった。




流木やごみの堆積は、堤防下(約1m)にずっと続いていた。まったく信じがたい光景だった。中和泉4丁目水神
付近(10/15)



河川を管理する水門は、大きなものから堰堤(えんてい)・水門・樋門(ひもん)などがある。全流程138㎞の大河である

多摩川には、各所に水門が設置されている。本流を堰き止め水位を調節する堰堤、本流に流れ込む支流を堰き止めた

り流したりする水門、そして堤防の中に暗渠(あんきょ)の形で設けられる樋門だ。多摩川団地周辺の生活排水は根川

に集められ、深いコンクリート箱川を流れて樋門を通り多摩川に流れ出す。今回の浸水被害(水路逆流による)は、当初

堤防からの越水によるものかと私は思っていたが、堤防をつぶさに見てもその痕跡はなかったし、被災した住民の話

からも越水はなく、多摩川本流の増水が、解放されたままの水門扉から水路を伝わって一気に逆流し、周辺住宅と公園

・道路を浸水したことが分かった。多摩川団地をぐるりと囲む根川は、深さ5m・巾3m程のコンクリート箱型の水路

で、団地造成時に治水対策で作られた。この水路があるおかげで浸水被害が抑えられたと、地元在のおばさんは話し

てくれたが、確かにこの水路が貧弱なものだったら、もっと被害が大きかったと思われる。




支流(というより周辺の生活排水を流すための流路)根川の排水門である樋門は増水時に閉じられ、水位が下がって
からまた開かれる。樋門の際まで水が押し寄せたのを、堆積物で確認できる。多摩川本流の濁流水圧は非常に高く、
一気に水路を逆流し周辺道路と家屋を浸水したものと見られる。中和泉4丁目(10/17)



この地区の中でも土地の高低差があり、1階の階段下で水が止まった棟や人家もあれば、1階の床上まで水に浸かっ

てしまったお宅もあった。地下駐車場の車は全滅、地上駐車場の車も浸水により電気系統が異常をきたし、警告音

が鳴り続けたという。浸水車両のレッカー移動や、使用不能となった家具類や電気製品などを、翌日から運び出し

たり片づけをする作業が続いたという。ただ、多摩川水害を経験し防災意識の高い両市(調布・狛江)の対応は素早く、

台風通過翌日の13日には自衛隊の災害派遣を要請し、陸上自衛隊の第一師団(練馬駐屯)の隊員と車両が来てくれた。

多摩川の水位が下がり、根川樋門からの排水もできた13・14両日の夜を徹する作業により、道路に堆積した膨大

な量の泥はほぼ片付けられ、バスや車の交通が再開されたのだった。




街路樹の桜古木の太い幹には、胸元辺りまで浸水した泥水の跡が残っていた。中央にそびえ立つのはコンクリート製
給水塔。西和泉2丁目(10/17)




ツツジの植え込み垣根にも、浸水の跡がくっきりと残っていた。大量の泥は一応片付けられたが、排水路に詰まっ
た泥はまだそのままだ。今後の大雨時の排水機能は、かなり弱いと予想される。同中和泉2丁目(10/17)



多摩川住宅南口交差点横の泥溜りはまだ残ったままだ。たまたま通過しようとしていた自転車に乗った男性が、
ぬかるみに車輪を取られて転倒してしまった。まだまだ危険はあるのだ、お気の毒に!





道路に堆積した泥土を見ると、多摩川から逆流した泥水であることが良くわかる。雨水による排水路にたまった水
からでは、こんな大量の泥土は発生しない。画像は陸上自衛隊・第一師団の災害派遣による道路啓開支援、後日犬を
連れて散歩中のおばさんは、「本当に助かりました、感謝です!」と話された。それにしても凄い泥溜りだ! 
栗山剛市会議員のTwitterより。西和泉2丁目(10/13)



同師団による集積廃土の除去作業、西和泉体育館にて。同師団Twitterより(10/16)


調布市・狛江市の要請による自衛隊の支援活動も迅速だったが、両市の社会福祉協議会によるボランティアセン

ターの開設も速やかだった。自衛隊の泥土除去作業が概ね終わった後、14・15日には市民ボランティアによる支援

活動が始まり、冠水して使用不能になった家具・電気製品・衣類などを、指定された集積場所に移動させる作業が

行われた。併せて、水浸しの床や泥に汚れた室内の清掃も行われた。このおかげで、町内を覆っていた泥土と被災

家財道具は片付けられ、一応暮しを再開するめどが立ったのだ。

残念ながら、私自身はこの情報をその時点で把握していなかったので、今回のボランティア活動には参加できなか

ったが、まだまだ支援が必要な場合には参加したいと思っている。




市民ボランティアによる被災家財道具の片づけ、調布市HPより(10/14)



今回の多摩川団地浸水は、解放されたままの樋門からの浸水だったが、台風19号の大雨がもう2~3時間続けば、堤防

からの越水と堤防欠損の結果、堤防決壊というケースもありえたと思う。国や自治体は、様々な治水対策を実施して

きてはいるが、ここ10年ほど前からの異常気象と最近の自然大災害発生の頻度を考えれば、地震・風害のみならず

水害への備えもより強力に行うことが求められている。

「災害は忘れた頃にやって来る」とは先人の伝えではあるが、居住地区のハザードマップや防災情報をもとに、災

害時に我が身(家族も含めて)と命を守るべき備えをより高い意識でする必要がある。早目の避難・安全な避難所の確

認・避難時の携行品の準備に加えて、ライフラインが止まった時に自宅で生き延びられる方法と備蓄品の準備など、

災害に備える暮らし方とご近所との連携をより綿密にやっていく必要がある。高齢者や障害者を家族に持つ方は、

より早めの避難や対応が求められるだろう。


今回は幸いにも多摩川堤防決壊には至らなかったが、水門開放による水路逆流浸水は、調布・狛江のみならず、二子

玉川で無堤防個所越水・武蔵小杉駅周辺のビル・住宅への水路逆流浸水・川崎市高津区の平瀬川越水など、多摩川流

域で多発している。大雨による水害は、今回多摩川だけでなく、日本全国各地の河川でで発してしまった。被災者

への支援ももちろん大切なことではあるが、水害発生のメカニズムをそこから読み取り、自の住んでいる地域の危

険度をより良く知ることから、災害に備える意識を高めていくことを平時から行うことが大切だと感じるのだ。また、

自治体には、被害を最小限度に抑えるための施策と被害発生前の情報(警報や避難指示)を、いかに住民に分かりやすく

伝えるかを大いに工夫してもらいたいと思う。いざという時には、まず自分の身と命を守る行動をすぐとれる決断力

が大事なことを、今回肝に銘じたいと思う。




狛江市のハザードマップ・多摩川はん濫版、撮影個所は迫った水位はーーーとなっている。書き込みはJ.TAKA、狛江市HPより。


<この項つづく>



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