2019年10月21日月曜日

調布・狛江の水路逆流と二子玉川の無堤防越水(台風19号多摩川氾濫その4.二子玉川)




大雨で大増水した多摩川は、最初に野川との合流部(二子玉川駅架橋下)の上流約700mの堤防がない部分から、
河川敷の二子玉川緑地運動場を覆い尽くし、濁流が野川に流れ込んだと見られる。画面右が野川。鎌田1丁目(10/13)  
All photo by Jovial TAKA



多摩川の堤防は、狛江市から世田谷区に入ってから鎌田一丁目の二子玉川緑地運動場で無くなる。下り坂となりな

がら高低差3m程の平地となり、その先に野川の流れがある。河川敷に番地が付けられているのも驚きだが、台風一

過の翌日(10/13)昼頃に見た野川南側の運動場には、大木や草木のゴミが大量に残されていた。明らかに、今回連日

マスコミが報道していた多摩川3丁目の兵庫島付近の氾濫(越水)の前に、堤防のない部分から多摩川の濁流が野川に

流れ込んだと見られるのだ。小山ドライビングスクールの前に架かる橋は、多摩川側では橋の高さまで上げ地され

ているが、もちろん強固な堤防はない。支流野川は昭和42年(1967)の大改修の折に、両岸に強固な堤防を設けてい

るが、この堤防につながる多摩堤通りのコンクリート壁(高さ1m・厚さ30㎝程)も、多摩堤通りの先・新二子橋下で

終わり、そこから先の二子玉川駅周辺の低地帯には全く堤防がないのだ。



上部写真と同じ位置から二子玉川駅方面を臨む。左の建物(青と白)は小山ドライビングスクール、横方向に架かる
橋は野川を渡る小橋。新二子橋(246号道路)と二子橋・東急田園都市線架橋は小橋の向う側(東方面)にある。新二子
橋から先は、多摩川にも野川にも堤防がない岸辺が続く(約540mと言われている)。鎌田1丁目(10/15)



野川側堤防上から見た二子玉川緑地運動場、濁流になぎ倒された運動場ネットフェンスが、無残な姿を残していた。
玉川3丁目(10/15)



小山ドライビングスクール南側道路から西方向・野川を臨む。多摩川と野川の堤防が画面中心で切れているのが
わかる。このままでは、大災害に備えた治水対策が出来ていないと言われても仕方あるまい。国と自治体の奮起と
早急な対策を望む。玉川3丁目(10/15)





多摩川河川敷に作られていた兵庫島公園に向かう兵庫橋付近の堤防のない個所から、台風19号による大雨で増水し

た濁流が道路を越水し、坂を下って二子玉川駅周辺の低地帯一帯が浸水被害に会ったことは、マスコミでも度々伝

えられているのでここでは省きたい。この越水個所からわずか10m坂上のビル管理人さんは、「うちは何も被害に遭

わずに助かった、この坂の下は大変だったよ! 」と話していたが、運不運は紙一重の差とはこういうことかもしれな

い。

「二子玉川の環境と安全を考える会」という堤防建設に反対してきた市民団体のHPが閉鎖されたことや、民主党政

権時代に゛事業仕分け゛を推進し、多摩川無堤防個所の堤防建設について「優先順位が違う」と言って反対した

蓮舫議員の発言などを取り沙汰するニュースがネットで飛び交ってはいるが、この大災害多発時代を見据えた意見

としては、迂闊(うかつ)で見識の浅いものだったとのそしりは免れないと思う。それにしても、100年に一度のレベ

ルの災害に備えなければならない時代になってしまったことは、大水害に備える国と地方自治体の治水事業を、今後

どんな施策や事業推進で乗り切っていくかに、大きな見直しを迫ることになると思う。加えて、いつ起こるかわか

らない災害に対して、わが身と命を守る準備と行動に、もう一度真摯に取り組んでいく必要があるのだ。






12日午後4時頃には、増水した多摩川の水は、兵庫橋を越えて橋を沈めてしまっていた。橋に架かったゴミがまた
越水を助長したとの話も聞いた。右側にシートを被っているのは緊急時に使うの土のうの積まれた山。どのように
活用されたのだろうか?  兵庫橋(10/12) Twtterより。 



兵庫橋上の道路に、土のうを積んで越水を防ごうとする消防団(らしき)の方達、こんな量では到底防げないだろ
うが、越水を防止しようとする周辺のビルや家屋の住人が、土のうをどんどん持ち去ってしまった、との話も聞
いた。画面奥は二子橋と東急線二子玉川駅架橋  FNN News 12日夜



越水個所の真ん前にあるビル地下の歯科医院は、マスコミにもたびたび登場したが、12日の夜には、すでに水浸し
だったようだ。多摩川1丁目 Twtterより





台風一過の兵庫島橋(野川合流部に掛かっている)、周辺に流れて来た樹や草木ゴミはすでに概ね片付けられていた。
この橋が完全に水没し、無堤防個所から濁流が越水したのだから、如何に多摩川と野川の増水が凄かったのかが
わかる。多摩川1丁目 (10/15)


無堤防越水個所を多摩川方面(野川に架かる兵庫橋上)から臨む。もう水が引いて、何事もなかったような光景が
信じがたい。兵庫橋(10/15)




台風19号の豪雨で発生した全国の河川氾濫被害は、まだ全容をつかめていないし、まだ新たな災害の報道も続いて

いる。被害に遭われた方達には心からのお見舞いを申し上げたい。道路や鉄道(新幹線の被害も膨大だ)のみならず、

ライフラインの復旧も待たれる。今回堤防決壊には至らなかったが、多摩川の氾濫も今まではありえないことと

思われていただけに、驚きであった。しかし、ここから教訓を読み取り、災害への備えを個人や家庭レベルで心し

て行うとともに、国や自治体の災害対策実施への声を上げていきたいと思う。多摩川には、堤防は必要である! 

今回の氾濫で、それは明白な事実となった。






兵庫橋付近から越水した多摩川と野川の濁水は、坂を下って二子玉川駅の低地帯に流れ込み、周辺一帯を侵水した。
多摩川1丁目(10/15)



多摩川橋(第三京浜道路)下の世田谷記念病院では、解放されたままの多摩川水門より排水の逆流が起こり、病院1階が
水浸しになった。病院前には浸水防止に使われた大量の土のうが残されていた。野毛2丁目
(10/15)





世田谷区ハザードマップ(多摩川版)世田谷区区HPより。は撮影個所、越水・水路逆流はーーーで示している。
描きこみは、J.TAKAによる。



<この項続く>


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