第4回 Françoise Hardy「Comment Te Dire Adieu」その3. フレンチ・ボッサの決定打
1966年5月、カンヌ映画祭金賞受賞会場にて。左より監督クロード・ルルーシュ、主演女優アヌーク・エメ、助演男優ピエール・バルー、主演男優ジャンルイ・トランティニアン、「男と女」の出演者たち Getty Images
https://youtu.be/M3y8tsDUl0s?list=RDM3y8tsDUl0s
♪Daba dabada 〃 ♪ でお馴染みのメインテーマ曲は、作詞:ピエール・バルー、作曲:フランシス・レイ、映画のヒットと共に世界的なヒット曲となった。スキャットは、ニコル・クロワジュ(Nicole Croisille)とピエール・バルーのデュエットです。上のタイトルを指定右クリックすると動画が見られます。
フレンチ・ボッサの拡がりを見るには、この映画「Un Homme et Une Femme」のテーマ曲と劇中歌がエポック・メイキングだった。それぞれ過去あるの二人の男女の愛を、美しい映像と共に描いたこの作品は、その年のカンヌ映画祭金賞に選ばれ、同年のアカデミー国際映画賞も受賞した。
助演したピエール・バルー(Pierre Barouh :アヌーク・エメの亡くなった元夫でカーレーサー役)は、テーマ曲を作詞するとともに、劇中で「Samba Saravha」を仏語で唄っている。原曲はポルトガル語の「Samba da Benção」(祝福のサンバ)、詞がヴィニシウス・曲がバーデン・パウエル(Baden Powell)、ブラジル音楽家たちとの様々な出会いを祝福するボサノヴァの名曲だ。バルーは仏語に翻案して作詞し歌い、その私的録画を「男と女」撮影中の友人ルルーシュに聴かせたら、彼は大喜びして劇中歌に取り入れたと言う(バルーの自伝「Ça Va Ça Vient」より)。
と言うのも、作詞家のみならず外交官でもあり作家でもあったヴィニシウスは、当時(映画「黒いオルフェ」成功後の1960年から軍事政権によって職を解かれるまで)パリの大使館に赴任していた。「彼のパリのアパルトマンは、ブラジル人音楽家・詩人・映画人のサロンとなっていて、パリの詩人・映画人達との交流の拠点となっていた。ここで、ボサノヴァの詩的イメージがフランス文化と結び着く基盤が作られた。」(Windows Copilot)
バルー自身は若い頃ポルトガルを放浪していた時、ジョアンのボサノヴァ(Chega de Saudade)に出会い感動し、その後戻ったパリで友人の紹介によりヴィニシウスとバーデンと知り合い、1965年2度目にブラジルに渡った時バーデンと前述の「Samba Saravah」を録画していたのだ(「Saravah History」より)。
そんな縁で、この「男と女」の映画音楽は、ヴィニシウスとバーデンが音楽担当で参加し、フランシス・レイの流麗なメロディとバルーの歌詞が、今までにない粋で洗練された ”French Bossa”の誕生を促し、世に送り出したものと言えよう。
「SARAVAH PIERRE BAROUH」ピエール・バルーとブラジル音楽1969~2003~ヤマハミュージック& ビジュアルズのDVD・PKG、バーデンとブラジル音楽家たちとの交流が描かれた映像詩。
https://youtu.be/li-hg5XsvJU?list=RDli-hg5XsvJU
1965年ブラジル滞在時に、バーデン・パウエルの自宅で録画された、ピエール・バルーの「Samba Saravah」。伴奏をするバーデンのギターは、シンコペーションする典型的なボサノヴァギター奏法、2人の掛け合いがとても素敵だ。上のタイトルを指定右クリックすると動画が見られます(動画公開の時期は1969年となっていますが)。
ブラジル本国では、1962年ヴィニシウスとトム・ジョビンのコンビによる「イパネマの娘」(Garota de Ipanema)がリオ・デジャネイロでヒットし、1964年アメリカで「Gets/Gilbert」のアルバムが発売されると、「イパネマの娘」は大ヒットしその年の「グラミー賞最優秀レコード賞」を受賞した。
英語歌詞(Norman Gimbel作詞)を、アストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto:当時ジョアンの妻だった)が歌い、ジョアンがギターを弾きながらポルトガル語の歌を唄い、トム・ジョビンのピアノ、スタン・ゲッツ(Stan Gets)のテナーサックスが加わり、リズムセクションはミルトン・バナナ(Milton Banana)のドラムとセバスチャン・ネト(Sebastião Neto)のベースというメンバーだった。ゲストヴォーカルだったアストラッドが英語で歌ったことが、外国語の歌に馴染みのないアメリカ人に受けた要因と言われているが. . .
とにかく、ジャズとボサノヴァが融合した「イパネマの娘」(このアルバムは”ジャズ・サンバ”と呼ばれている)がアメリカで大ヒットしたことにより、ボサノヴァは世界的流行を迎えた。
https://youtu.be/N-TKOh0zsvU?list=RDN-TKOh0zsvU
アルバム Gets/Gilbert に収められた「イパネマの娘」、珠玉の名盤です。上のタイトルを指定右クリックすると動画が見られます。
〈 この項続く 〉





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