2010年8月22日日曜日

真夏の夜は、屋上のライブハウスもいいね


以前からちょっと気になっていたライブ・ハウスが小田急線祖師ヶ谷大蔵駅近くにあり、猛暑が和らんだ夕方から出かけてみた。自宅からも電動チャリで20分位の距離だ(8/21)。
書店のある3階建てビルの3階にあり、一旦2階から階段を登って屋上に出ると、半分がテラスのオープンスペース、その奥にライブハウスがある。テーブル周りは、南国の雰囲気が漂う観葉植物に囲まれて、夜風はさわさわと吹き抜けていく。ハウスの中も、エアコンでなくて天井の大きな扇風機が廻って風を送っているだけ。不思議と暑さはなく、開けた窓からは心地いい風が入ってくる。

1階の入り口に出されたお店の看板、良く目立ちます。

お店の案内リーフレット、ムリウイはアマゾンに生息する゛ほんまに居るサルの名前゛から付けたという。                            
この夜の演し物は、シンガーソング・ライターでギタリストの日野良一さんの弾き語り、ブラジル音楽に魅かれてボサノヴァやサンバを歌うと共に、オリジナル曲をたくさん創っているアーチストだ。『黄昏サンバ』、『こもれびボッサ』、『そんな気持ちを歌にして』などのCDもリリースしている。
                                    
ライブが始まると、ソロと伴奏を交えた彼のギターの音色が心地よく、歌声は柔らかなテノールで、彼のくつろいだ世界を作っていく。クラシックギターとアコースティックギターを取替えながらの演奏だったが、それぞれの持ち味が出ていて楽しかった。かなりアップテンポなサンバに乗せて、日本語の歌が歌われるのも新鮮だった。ユーミンの『やさしさに包まれて』をMarchaの軽快なリズムで歌ったのと、オリジナル曲の『黄昏サンバ』がよかった。

店主の方針で、マイクと小さなスピーカーだけの設備、凝ったPAもなく、生ギターと生声が似合うスペースに仕立てている。ゆったりとした空間に椅子とテーブルとグリーン、風が吹き抜ける室内、テラスには音響は何もなく、開けた窓からに聞えてくる歌とギターを聴く...折からの多摩川花火大会の花火音も聞えてきた。

                                                    
ライブ終了後、帰り際に日野さんとちょっと話すことができた。
やはりクラシックギターをやって いたのがベースにはなっているが、ブラジル音楽を吸収しながら自分独自の世界を作っていきたい、とのこと。これからもいい歌を聞かせてほしいと思う。ちなみに、ライブのチャージはザルに入れる投げ入れ銭、気に入ったら沢山、でなかったら心づくし、というわけ。一晩に数グループを出演させ、何人以上集客! とノルマを課して廻していく世知辛いライブハウスの多い昨今、この店の心意気と心が和む空間作りは、猛暑の夏の一服の清涼剤であった。
今夜はMCをしないで歌と演奏に徹します、と日野さん、17曲を熱唱。

2010年7月27日火曜日

夏の食彩と最近のライブから

      □暑さの中でも美味しく食べられるお弁当の惣菜五種 All Photo by TAKA
猛暑が続いていますが、皆様お元気で過ごしていますでしょうか。この夏の暑さ対策でお奨めは、タオルで包んだ『アイスノン』、一晩に二つ冷凍庫で用意しておき、寝がけと朝方に取り替えて枕の上におくと良く眠れます。昼間の水分補給もさることながら、熱帯夜も乗り切らねばならないのは、頓に暑い昨今の都会の常でして、ヤレヤレと思いつつも夏バテなんぞするもんか!と気合を入れておりますが...
食友のMAちゃんと久し振りに会うことになり、ランチのお弁当と飲み物を持って出かけた。川風が吹き渡るキャンプ場の広いレストハウスは結構涼しく、ゆっくりと飲みながら、食べながらのお話は楽しかった。まずは、➀巾着茄子と隠元の山椒醤油漬け。ヘタを取りよく洗った小茄子と一度さっと湯がいた隠元を器に入れ、出汁と醤油をひたひたと浸るくらいにかけて、実山椒と粉山椒をふりかけてから重石を載せ3~4日冷蔵庫に入れて漬ける。小茄子がしんなりしたら食べ頃、一口で口をすぼめて食べることから東北地方ではこの茄子を゛巾着茄子゛と呼んでいる。女性のナニを連想させることから大きな声では言えないらしい。美味さこの上ないので、嫁に食わすな!とも言われているそうな。
次に、②イワシの梅・紫蘇巻き焙り。新鮮なイワシの腸を取り手で開きながら骨を取り去り、皮を取り除く。半身に紫蘇の葉と梅肉を乗せ、くるくると巻いて焼き鳥串でとめる。そのままガスや炭火で表裏を焙る。乗った脂がパチパチとはじけ、焙った表身と新鮮な中身が紫蘇と梅の味に混ざり合って美味しい。お酒が進みます。そして、③カボチャの煮物。ごく普通の煮物なのだが、煮崩れさせずに甘味を出すのは意外に難しい。緑を残して皮を大方取ってから、適宜な大きさに切り水に4~5分浸して臭みを取ったカボチャを、皮を下にして重ならぬように鍋に並べ水を浸々に入れる。落し蓋をして洗双糖を加え中火で10分程度煮てから醤油を入れ5分ほど再び煮て出来上がり。細串で煮具合を確かめるか、カボチャ全体の色が醤油色になったので判断してもいい。ほんのりと甘味がある柔らかなカボチャはホクホクしてとても美味しい。
MAちゃん持参のMY塗り箸と漆器のMYぐい飲み、掌に乗る大きさも程よくお酒が進みます。当日の日本酒は毎年7月限定(2,000本)の「瀬祭(だっさい)発泡濁り酒・スパークリング生々」、日本酒なのにスパークリングという珍しいお酒、フレッシュで柔らかな味です。グリーンのボトルに白濁した生酒というのも雰囲気いいですね~!




さて、メインは④自家製ローストビーフ。まず、漬け汁を作る。玉ねぎ一ヶをすりおろし、一片のおろしニンニクと共に酒・醤油を加えて、味噌少々ラー油・胡麻油少々白胡椒少々と混ぜ合わせる。ここに生肉(今回は黒部和牛の腿肉ブロックを使った)を入れ、冷蔵庫で2時間ほど漬ける。漬け汁を良く取ってから、フライパンに脂を敷いて熱し、ブロックの上下・左右・側面を焦げ目が付くくらいに焼く。
焼きあがったら、次に蒸し器を使いブロックごと15分程中火で蒸す。焼き上がりのチェックは、金串で肉の中心部を刺して、抜いた金串をなめてみる。火が通っていれば、串全体が熱い。最後に漬け汁を半分量くらいに煮詰めれば出来上がり。
肉ブロックを薄切りにし、垂れをかけて食べてみると柔らかくてとてもジューシー!! 市販のものと違い、パサパサ感などはどこにもない。付け合せにはクレソンがいいですよ。
ちょっと変わり味の炊き込みご飯を一品添えた。⑤雑魚と松の実の炊き込みご飯。この季節は、空豆やグリンピースなどがないので、チリメン雑魚のお相手は松の実。コクのある味と歯ざわりが楽しめる。炊き方は、普通に研いだ米と水にお酒・醤油を少々加え炊くだけ。ポイントは雑魚と松の実を入れるタイミング:炊くお米が吹き終わった時に入れて蒸すだけでオーケー。初めから入れると実が崩れたり味がしつこくなるので要注意。
ここで、最近のライブからいくつかをご紹介する。まず、TOMOさん(Vo&Gt)とむーさん(Vo&Gt)と松木さん(Pc)の3人ライブが調布の猫村であった(5/28 いささかまえ!)。ボサノヴァのスタンダード曲が中心だったが、三人三様の個性があって面白かった。松木さんのパーカッションは珍しいエレクトリックで、キーボードから色々な打楽器音がでてくるのは不思議であったが、私にはやや現実感が乏しく感じられた。
TOMOさんは、カエターノ・ベローゾの「Avarandado・ベランダのある家」をマルシャのリズムでなくアルペジオで弾き語りしたが、これがしっとりしていてなかなか良かった。妖精森ガール風の白いワンピも似合っていた。
3人のセッション風のステージ仕立てだったが、やはりバンドを組んだからには、3人でなくては作れない様な「バンド音」を聞かせてほしかったなぁ。







国分寺のクラスターでは、高見美保さんのライブがあり(6/21)、中村善郎門下生のよしみもあり出かけてみた。この夜は、Tempo De Bossaと題する公開練習日で、ボサノヴァスタンダード曲を中心に、VO&Gt / Fl / Psのバンド演奏を披露した後、来客の参加でセッションが楽しめるという趣向だった。
美保さんの明るくて軽やかな歌声と巧みなギター演奏は寛げてよかった。来客も自分の演奏や歌を披露し、私も数曲を皆と加わってセッションし楽しめた夜だった。
□                                                                                                                                                                   
地元狛江で30年ライブ活動を続けている佐古大介(別名:さけだいすき) バンドのライブが矢野口のジャガイモハウスで開かれ、遊びに寄った(7/25)。顔なじみの方たちも多数押しかけ、店内は満員だった。この日の演し物はほとんど大介氏のオリジナル曲で、「呑んだくれララバイ」にはじまり、「宝物箱」・「志ん生レゲエ」・「おーい雲よ」など、ほとんど酒と酔っ払いの歌ばかり、これには参った。呑めば呑むほどに歌の調子がでてくる稀有のキャラクター、バックを支える内田(Gt&Pianica)・小成(Gt)・キンヤ(Ba)のメンバーも強力な実力者揃い、なかなか楽しいライブだった。ラテン曲の『キサス・キサス』に詞をつけてダイエットソングにしてしまったのには皆抱腹絶倒、「飯もクワンド! サラダもクワンド!...」 やれやれ   
同じ日の夜、下北沢のボイスファクトリーでは、音友リョウさんがプロデュースする3バンド合同ライブがあった。英里君のブルースバンド「Quater Past Nine」と、西澤さんのビートルズ・コピーバンドの「モンキー・ビジネス」、それとリヨウさんの「Honey Bee」が会場を借り切ってやった催しだった。大介バンドを途中で失礼し、会場に駆けつけると満員で立ち見も何人か、なかなかにぎやかだった。知り合いもちらほら、゛音楽の町狛江゛を市のスローガンとしているのも頷けるほどの賑わいだった。
この夜のリョウさんは、12弦ギターを持ち出して、その華麗なギターテクニックを披露すると共に、ロック魂のはじけるようなオリジナル曲を弾いて歌いまくった。なかなかの迫力だった。何度か彼のバンド(みつばちバンド)のパーフォマンスを見て聴いているが、この夜の演奏と歌は凝縮されている感じがして良かった。バンドテーマ曲の「ハニー・ビー」に始まり、「Sleeples Night」、「オレはねむれない」、「Rの憂鬱」など、立て続けに彼は歌ったが、来場者たちからも声がかかり、和やかな中にも歌と演奏をじっくり聴こうとする気持ちが会場にも溢れていた。狛江のミュージシャンもお客もなかなかレベルが高い。リッケンバッカーのGtで電飾ピカピカを光らせながら、私の好きな「ピンクムーン」というバラード曲を最後に披露してくれたのも嬉しかった。ジョンレノン張りの歌と演奏で会場を湧かせた西澤さんのバンド(上)、12弦Gtを弾きながらシャウトするリョウさん、なかなか絵になっていたぜぃ!(左) 
         

2010年7月1日木曜日

夏桔梗が咲けば、佐島の海では地蛸の季節

例年よりはやや遅い夏桔梗と半夏生、紫と白とコントラストが涼しい瑞泉寺の庭園 All Photo by TAKA
ふと思い立って、久し振りに鎌倉瑞泉寺を訪れた。ここ2年、機会が作れず夏桔梗を見ることが出来なかったが、大塔宮からバスを降りて鎌倉盆地の東端にあるこの寺へ向かうひなびた参道は、紫陽花が咲き乱れ、白から紫・紅への色のグラデーションを楽しませてくれた。谷戸の鬱蒼とした両端の森からは、鶯の鳴き声が何匹も重なり合い、涼風に゛さわさわ゛となる木立ちの葉の擦れる音を伴奏にして、一層の静寂を感じさせてくれる。古刹を訪れる人もちらほらいるが、ひんやりとした空気の中で、桔梗・半夏生・美容柳・鹿の子百合・紫陽花・露草などが咲き乱れる庭園をゆっくり見ることができた。庭園の手入れは、夏草たちの勢いに追いつかないのか、雑草もいささか生い茂り、これから花開く桔梗の枝も、草に埋もれていた。
鎌倉時代の面影を色濃く残すこの禅寺は、高台にある本殿に続く石段の両端に木立ちが生い茂り日中でも薄暗く、鶯の鳴き声と涼風に鳴る葉音に囲まれていると別世界のようで、しばし時間を忘れる。初春の水仙と秋の紅葉で有名なこの禅寺だが、関東地区でも夏桔梗を見られる花の名所として知る人は少ない。

最近増えた紫陽花の花、山の斜面にもびっしりと(左)、梅雨時に咲く美容柳も小花を沢山つけて(右)
鎌倉を訪れたときにはかならず寄る段葛の蕎麦屋゛こ寿々゛も、開店の11時半にはお客が待ち並んでいた。先取り注文をした店員に案内されて席に着くと、片口に並々と注がれた冷酒と、出汁巻き卵にそば味噌がついてテーブルに出てきた。まずは、冷酒を一杯口に含む。喉をするすると落ちていく旨酒に、゛う~ん、美味い!と呟きがこぼれる。焼きたての卵は、さっぱりとした出汁と柔らかな卵の味がこの店の特徴で、出し巻き卵の美味い蕎麦屋はいい蕎麦屋、という蕎麦屋評がうなづける。地元の佐島港で上がった小振りの蛸を茹でてぶつ切りにした゛蛸ブツ゛はこの店の名物だが、知る人ぞ知るの一品なのでメニューには載っていない。歯当たりのいい身を噛むと、美味さが口に広がる。そこでまた一杯...
手打ちの蕎麦は、江戸前のさっぱりとした味だが、しゃきしゃきとした歯ごたえが特徴で美味い。蕎麦湯には、薬味を少し入れ、一味を出してもらい少々振る。ゆっくりと飲む蕎麦湯は、至福のひとときである。




鎌倉は、いつ来ても良いね!と思いながら帰路の横須賀線に乗る。ただし、人混みが強くなる昼時には引き上げてしまうのが私流。早起きの効用で、久し振りの鎌倉小旅行を楽しんだ。

2010年6月25日金曜日

第一回 和食と音楽のコラボ:椿珈琲店にて

   □食べかつ飲みかつ歌い奏でる今宵のメンバーたち、美味しくて楽しい会となった。All Photo by TAKA
前々からあたためていたアイデァが形となって、『マクロビィオテックな江戸料理と歌を楽しむ会』が、喜多見の椿珈琲店で開かれた(6/22.PM7:00~)。集まったのは、この店の常連客たち。シンガー・ソング・ライター、アレンジャーandピアノ奏者、ギター奏者、歌唄い好き、歌聴くの好き、酒好き...その中で今宵の私は、臨時板長役でレシピと調理を担当し、茂子ママにお手伝い頂いて皆さんに料理を振舞うのである。かつ、また私もギターを奏で歌うのである。寛いだホームパーティが始まった。
まずは、今宵の料理お品書き(全6品)を紹介しておく。()はブログ掲載日
➀前 菜      水菜に雑魚とおろし大根のせ
              ※特製ドレッシング(玄米黒酢+E.V.オリーブオイル+天然醸造醤油)


②お造り   鮭と白身魚の紫蘇・おぼろ昆布重ね(2009.1.2参照)


③お豆腐    ニンニク縮緬豆腐とオクラ縮緬豆腐にサンチェ添え(2008.5.4参照)


④煮 豆   白花豆と金時豆の黒酢・オリーブオイル和え・青海苔と粉チーズのせ
            (2008.4.23参照)


⑤焼き野菜    茄子の練り味噌焼き(シギ焼き茄子)


⑥お 肉         鴨肉の醤油実山椒漬け・クレソン添え(2009.1.28参照)

このブログでもマクロビォテックの理念と料理例を何度か紹介(2008.7.5)しているが、今回の料理もすでに紹介しているものがほとんどだ。「一物全体」、「身土不二」、「陰と陽のバランス」、という考え方は簡単に言うと次のとおり。食材は皮やアクまで丸ごと食べることで生命維持が出来る。生まれ育った土地で季節に取れた食材を食べ、気候や水、空気や土壌すべての環境を取り入れて体のバランスをとることができる。全粒の穀物を主食として、有機栽培の野菜・豆・果物・海草に天然の調味料で陰と陽のバランスを考えて調理し、砂糖・乳製品・肉・卵類は極力取らない。

江戸料理と名づけたのは、伝統的な日本の家庭料理が残っていた曾お婆ちゃんの時代とその先にある江戸時代をイメージしてであり、私の敬愛する料理家近藤文夫氏(池波正太郎の時代劇に出てくる料理の監修者にして、銀座・てんぷら近藤のオーナーシェフ)にあやかってである。ただ、あまり理念に囚われすぎず、料理を楽しむつもりで今回の食材も選んである。もちろん、今回も砂糖は一切使っていない。

以下、料理写真と簡単なレシピを紹介する。器はすべて椿珈琲店の備品からお借りして盛りつけた。調理する脇でライティングもなしで撮った写真なので若干画面が暗いのをお断りしておく。

 ➀水菜をざく切りにし、おろした大根とチリメン雑魚を載せる。ドレッシングは、玄米黒酢とエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルと天然醸造醤油を1:1:1で混ぜたもの。このドレッシングは、色々なシーンで使える万能の優れもので、市販のものと較べ、体と健康によいのは間違いなしである。この前菜が好評だったのには私もびっくり。チリメン雑魚は、鹿児島産・築地中富水産のもの、たっぷり載せて食べていただいた。
②鮭の切り身(この時期国産はないのでノルウェー産を使用)と、さばいた宮崎産の真鯛の切り身に、紫蘇とおぼろ昆布をはさんで3~4層に重ねる。身崩れを防ぐために、予めラップシートを敷いてその上に重ね、折りたたんで包むとよい。
食べるときは、一層づつはがしながらいただく。トロッとした鮭とさっぱりした鯛の味に青紫蘇の香味と昆布の旨味が加わり、味の四重奏だ。極上の日本酒と共に味わうと゛味の五重奏゛となる。「味のクインテットかぁ~!」と思わず声があがった。
このお店のオーナー・茂子ママのご好意と乗り気で実現した今回の企画、今宵は私も江戸小紋の手ぬぐいを巻いて登場!いつものハンチング帽の趣きとはガラッと変わったので、皆さんから、こっちの短髪の方がずっといいとお褒めをいただき、すっかりいい気分。
TA子さんが持参した日本酒三種は、生酒・純米酒・超辛口吟醸酒と逸品ばかり。料理とマッチして杯が進むことすすむこと!
ご馳走、というのは、適宜な食材を求めて東奔西走すること。今回も食材探しには時間を要した。また、当日の調理場で出来ないもの(豆の水戻しなど)は、前日に仕込んでおいた。
③やや小振りの鹿児島産チリメン雑魚に、青森産にんにくをスライスして菜種油で揚げたものを加え、純米酒と天然醸造醤油で煮込んだもの(酒1・醤油1の煮汁)、隠し味に実山椒を入れて香りを出す。これがニンニク縮緬。もう一品は、同じく揚げたオクラ・スライスと輪に刻んだ赤唐辛子をチリメン雑魚加え、酒と醤油で煮込んだもの。国産絹豆腐に載せ、あるいはサンチェに包んでいただく。この縮緬煮はたんぱく質とカルシウム摂取に、常備采として大活躍する。ご飯に載せてもいいし、パンにはさんだり、スライス大根にサンドしたり...お好みでどうぞ。

④煮豆は、前の夜水にひたひたと漬けて一晩戻す。そのまま鍋にかけ、いったん沸騰したら灰汁を取りつつ弱火で40~50分、差し水をしながら柔らかくなるまで煮る(豆の固さや保存期間により、若干長くなることもある)。
煮上がったら、煮汁を取り出し(そのまま味噌汁や煮物の出汁に使える)、玄米黒酢とE.V.オリーブオイルを加えて和える。トッピングは、青海苔・粉チーズなどお好みで。豆本来の甘味と旨味が楽しめて美味しいし、整腸剤としても抜群である。人生、マメに生きようとする人は豆を食べるべし。幸せが向こうからやってくる。

⑤⑥宴も後半になると、歌とギター演奏に皆乗り乗りとなってくる。食べる方もやや進み加減が落ちたので、メインディッシュは、鴨・茄子・クレソンの盛り合わせとした。酒と醤油に実山椒を加えた漬け汁(水3・酒4・醤油3)、をいったん沸騰させ、脂身をはずした岩手鴨ロース肉を裏・表約1分位づつ煮てから、氷入りのボールに乗せてすばやく冷ます。鴨肉は全体に火が通りつつ、外は茶色、中は赤身色のままに仕上がる。刺身のようにこの漬け肉を切り、洗ったクレソンを添える。むっちり・ねっとりした噛み応えと味は鴨肉ならではのもの、みなさんに大好評であった。
小振りの茄子は、半切りした両面に胡麻油を刷毛で塗り(今回刷毛を持参し忘れ、P.タオルで代用)、オーブンで焼いてから身面に練り味噌をバターナイフで塗って、再び焦げ目が付く位に焼くと出来上がり。練り味噌は、天然醸造味噌・出汁・味醂・卵の黄身・刻んだ青唐辛子を混ぜて練ったものを使った。
夜も更けて、ひと通り料理とお酒を楽しんだ後も宴は続いた。NIさんが、小笠原を訪れた印象を歌ったオリジナル曲「父島・母島」を披露し、KNさんが、皆に請われて十八番の「ダンダン・シュビドゥビ・シュビドゥバ~」(懐かしのサントリーウィスキーのCMソング)を歌い、UDさんは「たそがれのビギン」をギターソロで奏で、私が伴奏したり...DSさんがオリジナル曲を歌えば、哲マスターも「京都から博多まで」を爪弾き、それをTA子さんが歌い。今宵風邪で喉を腫らして美声が出ないTKさんは、ニコニコと皆の歌を聴き、持参の赤ワインを飲みながらSAさんも皆の歌を聴いて楽しんでいた。

10人が参加した今回の料理と歌を楽しむ会は、参加者同士の親睦と洒落っ気を目論んで出来た会なので、酒はフリードリンク(持ち込み歓迎)で会費3,000円という破格値、茂子ママのご好意の賜物だった。調理を担当した私は、それなりに準備を要したが、会の始まりから終わりまでとても楽しかった。自身が探求する食の世界を、美味しいといって食べていただけたのは何よりの喜びであった。TA子さんの「次回は秋にやろうねぇ~」との一声で、また趣向を変えて第2回の゛和食と音楽のコラボ゛が実現できそうである。この夜の私の弾き語り曲は、ボサノヴァ演歌の「Antonico」で、このメロディを拝借して五木ひろしの「横浜たそがれ」をはさんで歌った。皆に好評だったことを付け加えておく。

2010年6月2日水曜日

椿 珈琲店 の、夜は更けゆく

音友UDさんに連れられて訪れたのがきっかけで、この店がすっかり気に入ってしまった。閑静な住宅街の一角、世田谷区喜多見の氷川神社の南に位置する「椿 珈琲店」は、昼は入れたてのコーヒーと店主茂子さん自製のチーズケーキが美味しく、夜はお酒と音楽を楽しめる店だ。
マスターの哲さんは、人ぞ知るギターのコレクターで、何時も店内のギタースタンドには愛用のギターが3~4本並んでいて、お客は楽器を弾かせてもらえる。マスターの鶴岡雅義(東京ロマンチカ)張りのギター演奏に乗せられて歌うと、お客はすっかりいい気持ちになってしまう。カラオケ、ならぬ゛生オケ゛だ。

店を知らせるものはこの小さな看板だけ、知らない人は通り過ぎてしまう All  Photo by TAKA

店名゛椿゛の由来は、入り口脇にある二本の椿の木、春には白と赤の美しい花を咲かせて楽しませてくれる。この夜は、UDさんとDKさんと私が、代わり番子にギターを伴奏したり歌ったり、サブメロディを入れたりソロを弾いたり...そこにマスターのソロが突然入ってきたり。艶のある声でタッキーがシャンソンを歌い、TA子さんが中島みゆきの曲を歌ったり...SA子さんも楽しそうに身体を揺らして聴いている。なんか、歌声酒場のような、また、寛いだセッションのような、はたまた、ホームパーティのような...。普通の人家の1階を喫茶室にしているせいか、とてもリラックスできる空間だ。普段はライブやセッションで気合を入れて歌い演奏している方たちも、ここでは、肩の力を抜いて音楽を一緒に楽しめるのがいい。お酒についてくる肴は茂子ママのお手製で、美味しいのが嬉しい。

前回の訪問のときに、TA子さんの蕗煮をご馳走になったので、今宵は私自製の゛白瓜のカミナリ干し゛を持参した。薬味に実山椒の塩漬けを添えてみなさんに抓んでもらった。瓜のぐるぐる巻きに歓声があがり、青い実山椒に゛舌が痺れるぅ~!!゛ と好評だった。

ゆったりと座れる椅子で弾き・歌い・楽しむ今宵のメンバーたち(右上)
   構えもピタリと決まったマスターのギター、現在レキントギターを物色中(右)


ふと思いついて茂子ママに話したのがきっかけで、このお店で「マクロビォテックな江戸料理と歌を楽しむ会」を開くことを現在検討中。TAKAがレシピと料理を担当し、5品ほどの季節の旬菜を用意し、これを酒の肴にして、参加者には歌あるいは楽器演奏を披露していただき、楽しんで大いにくつろごう!! という会です。和食と音楽のコラボですね。なんか、楽しくなりそうぅ~!

珈琲店 椿:世田谷区喜多見4-25-15  Tel:03-3417-2821

2010年5月28日金曜日

木の芽味噌二品と煮蛸の黒胡麻味噌和え

□                                                                                     
初夏のこの時期になると山椒の木が新芽を伸ばし、独特の香りをあたりに漂わす。アゲハ蝶はこの木に飛来し卵を産み付けるので、黒から緑色に脱皮した幼虫は新芽と葉を食べてどんどん大きくなり、やがてさなぎとなってある日黒と黄色の蝶に変身して空に飛び立っていく。小さな鉢植えだと後に残されるのは、丸裸の山椒の枝だけとなる。幼虫の腹を押してみたら、出てきた体液や糞まで、゛ツンっ゛とした山椒の香りだったのにはびっくりしたが、葉を食べているのだから当たり前と言えばそうなのだが...私は山椒の味と香りが大好きで、木の芽や実を料理に使うことが多い(08.5.4 チリメン山椒の項をみてね!)。                                           All Photo by TAKA
  
木の芽味噌は、山椒の新葉をすり鉢ですりつぶし、好みの味噌と味醂をを加えてペースト状に合えたもの。白味噌(京味噌)を使うと色がきれいに仕上がるが甘味が強くなるので、私は味優先で玄米味噌を使う。
木の芽味噌があると、色々な料理のが楽しめる。冷たい豆腐を適宜な大きさに切り、へらでこの味噌を乗せたり、炙ったコンニャクに乗せたり、白瓜の雷干し(2009.6.5の項)に和えたり。
また、鰻の白焼きにこの味噌を乗せて少し焦げ目が付くぐらいに炙った゛鰻の木の芽味噌焼き゛や、ホタテを焼いてこの味噌の香りをつけたり...山椒の新芽のピリリッとした味とさわやかな香りを楽しむ料理は、初夏のこの時期ならではのものだ。
 □木の芽味噌の田楽(左)と木の芽味噌かけ豆腐(右)、季節の香りが゛ツンっ゛ときて美味。



味噌を使った料理をもう一品。生ダコを入手し、塩もみして滑りを取った後、塩を少々入れた沸騰したお湯で10数分煮る。柔らかくなった身と足を冷ましてから乱切りにし、やはりすり鉢で擂った黒ゴマと味噌・味醂で和える。゛煮蛸の黒胡麻味噌和え゛は、胡麻の風味が決め手で、洗い胡麻をナベで炒ってから使いたい。蛸の柔らかな歯ざわりと胡麻の芳しさが溶け合ってとても美味しい。付け合せに、ワラビのお浸しを添えてみた。削り箱でシコシコと削ったカツオ節を乗せて。

ワラビのお浸し(左)と、煮蛸の黒胡麻味噌和え(右)

2010年5月17日月曜日

Jovial TAKA LIVE in add9th 10' 5.15

三人の名前のイニシャルがT(Taka:Vo.Gt / Tamtam:Fl / Tateyan:Cello)、Banda Três-T・バンダトレステの演奏はとても心地よかったです! Photo by Nishizawa
私の地元狛江のadd9thでのソロライブは今回が二度目、1~2ヶ月に1度のセッション日には近隣の音楽愛好者たちが集まり、ブルース・ジャズ・POPS・ボサノバなどジャンルを越えた交流があり、お互いにセッションを楽しむのが恒例で、かく言う私も毎回参加して音楽の輪に入れてもらっている。
この日のライブは、私の歌と演奏をはじめて聴く方たちが多く、仕事仲間(介護福祉)や知り合いの方たちも含めて10数名が来場し、心のこもった拍手でライブを楽しんでいってくれた。今回も、演奏曲のプログラム(解説付き)とボサノヴァ曲のポルトガル語歌詞訳・TAKAオリジナル曲歌詞を小冊子にして用意したが、20部用意したもののお店のケンヤマスターや出演者にもあげたので、1部しか残らなかった。来場者が少なかった前回荻窪Alcafeでの演奏曲と大筋は同じなのだが、初めての方たちのために良く知られたPOPSも急遽入れての演奏だった。
ボサノヴァ曲の内容が解るということで好評の訳詩、結構たいへんなのだが全曲を用意した。
当夜のプログラムを紹介します。
<1st stage>
Bossa Nova   1. Vou Te Contar 君に告げよう(Wave)DMaj Taka[Gt/Vo] & Tamtam[Fl]
Marcha         □ 2. Avarandado ベランダのある家・AMaj                 
Samba           3. Palpite Infeliz 嫌な予感・CMaj                   〃
Am-POPS     4. The Shadow of Your Smile いそしぎ・Em          
Bossa Nova    5. O Pato アヒル・DMaj                           
Bossa Nova   □ 6. Samba Em Prelúdio 予兆のサンバ・Bm       
GB-POPS      ■ 7. Yesterday イエスターデイ・GMaj                                         Banda Três-T 
Bossa Nova   □ 8. Eu Não Existo Sem Você あなたなしでは生きてゆけない・AMaj  
Choro            9. Falando De Amor 愛の語らい・Gm                    

<2nd stage>
Marcha          ■ 1. Spring Rain 春の雨(Original)BMaj  Taka Solo[Gt/Vo]
Bossa Nova    □ 2. シマフクロウとルリタテハ(Original)Am    
Sambinha       □ 3. One Side Love 片想い(Original)GMaj     〃
J-POPS         4. 別れのサンバ(長谷川きよし)・Am            
J-POPS         □ 5. Verão Triste 夏をあきらめて(桑田圭祐)・Em Taka Solo[Uk/Vo]
Bossa Nova    □ 6. Felicidade 幸せ・CMaj         Banda Trés-T
Bossa Nova    7. Insensatez 軽はずみ・Bm                 〃
Bossa Nova    8. Água De Beber 美味しい水・Bm       
※Tempo :   Allegro □Moderato Adagio
※Banda Três-T :Taka[Gt/Vo]、Tamtam[Fl] and Tateyan[Cello]

1st Stage 50分、2nd Stage 52分、途中休憩を20分入れて終わったのがPM:10時20分、たくさんの拍手に押され、流れに乗ってとても気持ちよく歌い演奏できた。Tamtam のFLはアドリブが小気味良く入ってきて、「1-4 The Shadow~」、「1-5 O Pato」、「2-8 Água de ~」は私も曲の中心に入った気がした。Tateyan のCelloは、「1-8 Falando ~」と「2-8 Insensatez」2曲のソロが滑らかに入り、流麗なメロディラインがふくらみのある音で表現できた。
ただ、反省点もあって、ファンサービスのつもりで急遽入れた「1-7 Yesterday」と「2-4 別れのサンバ」は、私の歌いこみ不足から充分な表現が出来なかった。「2-6 Samba Em ~」も、Fl とのハモリがいまひとつで今後の課題となった。
□ 
同じ事業所の仕事仲間の先輩たち(HJさん・SWさん・MTさん)と一緒に聴きに来てくれたTHさんからは、「なんかとても軽~い気持ちになって、眠りながら身体が歌ってました!」と、嬉しいお言葉をいただいた。お店でいつも美味しいコーヒーを入れて飲ませてくれるTGさんも、お友達二人をさそって来てくれた。「タカさんのギターがとても上手くなってきてるって聴いたけれど、ほんとね~!」、お世辞とは言え嬉しい限りです。FKさんは、「柔らかな音で、タカさんの人柄が出ていました。」といっていただいた。自分ではあまり意識していないのだが、やはり音楽表現を通じて人間性が出るものなのだろう。セッションでよくピアノを弾いてくださる名手UDさんからは、「歌の音量に較べてギター音がやや小さかったよ!」との指摘も。PAバランスをもう少し丁寧にチェックすることに気をつけねば、との課題も確認できた。あわせて、オリジナル曲の「2-3 One Side ~」が良かったとのお褒めの言葉もいただけた。約2時間を歌い演奏する自信がついたので、今後演奏曲各曲の質を高めることにも留意していきたい。

ただし、多くのプロたちに接しているケ
ンヤオーナーからは、「バンドの質をもっと上げてほしい!」との辛口批評もいただいた。個々の演奏者の技量が、溶け合い高まりあって、バンドならではの練れた音楽表現になるように、磨き合いの必要性を強く感じた。毎年春と秋にソロライブをすること、それに合わせてボサノヴァの新レパートリーとオリジナル曲の新曲を披露することが当面の課題だが、他楽器の演奏者やヴォーカリストとの共演も色々試みてみたいと思っている。ここにリズム楽器やピアノが入ってもいいのだが、ただ器を大きくすることは避けたい。納得のいく音のハーモニーを求めて、聴いて下さる方たちの心からのくつろぎに繫がるライブに向かって、これからも精進していきたいと思う。
 
聴きに来てくださった皆様、本当にありがとうございました!!
また、次回のライブでお会いしましょう!