第1回 Enrico Macias・Solenzara その2 原曲と日本のカバー曲
『Solenzara』の原曲は、コルシカ島のデュオ・「レジーナとブルーノ」がコルシカ語で歌った曲ですが、YouTubeで視聴できるので聴いてみて下さい。『Canti di Corsica Resina et Bruno』より。
◆上のタイトル(下線付き)を左ワンクリックすると、下に YouTube のアドレスが出ますので、左クリックすると動画がスタートします。例によってコマーシャルも流れますが。
E.マシアスによるフランス語歌詞は、一部にコルシカ語を残しているが、原曲の「風光明媚な島賛歌」という雰囲気を、避暑地で出会った二人の男女のラブソング(Chanson d’amour)に仕立てたことが、万人に解りやすい歌となりヒットに繋がったと思われる。
動画は、前回の記事「Enrico Masias Solenzara」で視聴してください。
(歌詞) (和訳)
Sur la plage de Solenzara ソレンツァラの浜辺で
Nous nous sommes rencontrés わたしたちは出会った
Sur la plage de Solenzara ソレンツァラの浜辺で
Nous nous sommes rencontrés わたしたちは出会った
Un pêcheur et sa guitare 一人の漁師がギターで
Chantaient dans la nuit d'été 夏の夜に歌っていた
Cette douce mélopée あの甘い朗吟歌
Cette douce mélopée あの甘い朗吟歌
Sur la plage de Solenzara ソレンツァラの浜辺で
Chaque soir on a dansé 毎晩踊った
Et le jour de ton départ そしてあなたの発つ日
J'ai compris que je t'aimais あなたを愛していることに気がついた
Et je ne t'ai plus quité もう離れることはない
À Solenzara ソレンツァラで
Oh! chi dolce felicità おお、なんと甘い幸せよ
À Solenzara ソレンツァラで
Chaque soir on a dansé 毎晩踊った
Et le jour de ton départ そしてあなたの発つ日
J'ai compris que je t'aimais あなたを愛していることに気がついた
Et je ne t'ai plus quité もう離れることはない
À Solenzara ソレンツァラで
Oh! chi dolce felicità おお、なんと甘い幸せよ
À Solenzara ソレンツァラで
Più bè nun si po sta... これ以上のものはない…
▢フランス語歌詞と和訳(1番のみ)は、「エンリコ・マシアスの素晴らしい世界」より。
▢フランス語歌詞と和訳(1番のみ)は、「エンリコ・マシアスの素晴らしい世界」より。
この曲のフランス・ヨーロッパでのヒットを受けて、日本でもカバー版を唄う歌手が輩出したが、その中から岸洋子版と越路吹雪版を見てみたい。日本語詞作詞は両方とも水野汀子氏だが、1つの曲から2つの日本語曲を作ったというのも、色々と工夫を経た離れ業のように思える。なかなか出来ないことではありますが。
〈 岸洋子版 想い出のソレンツァーラ 「決定版岸洋子」キングレコード2023.12 〉
私のソレンツァーラ 夜の浜辺に
甘く聞こえる あのなつかしい 想い出のギター
はじめてあなたと 夜の浜辺で
踊ったときに 私の胸は 恋にふるえた
ああ ソレンツァーラ 光に輝く
ああ ソレンツァーラ 恋の浜辺
恋しいソレンツァーラ 今も聞こえる
あなたを知った 夜の浜辺の なつかしい歌
あの夜二人に 恋がめばえて
かわらぬ誓いを 砂にきざんだ 想い出の夜
ああ ソレンツァーラ 光に輝く
ああ ソレンツァーラ 恋の浜辺
かわらぬ愛
岸洋子は、マシアス版の曲リズム「ビギン ♪♩♪ ♪♪♪♪」ンチャーチャ ンチャンチャ に乗って、出だしの譜割も 「ンわ~たしの ソレン~ツァーラ」と、ラテンのリズムで唄っている。歌詞もマシアス版に近いラブソングだ。
対する越路吹雪版は、少し恋歌の雰囲気を出してはいるが、むしろ「レジーナとブルーノ」の原曲に近い島賛歌だ。出だしの譜割も「ン こ い しソ レン ツァーラ」と、8ビートの日本の歌謡曲に近い歌い方で、マシアス版のようなラテンの乗りはない。
〈 越路吹雪版 想い出のソレンツァーラ「越路吹雪のすべて」 EMI Music Japan 1985 〉
恋しいソレンツァラ 港の船よ
いつまでも私の心を とらえて離さないなつかしいあの灯が まぶたにのこる
海の彼方のはるか沖から あの人は帰る
ああ ソレンツァラ 光にかがやく
ああ ソレンツァラ 恋の港
夜明けのひかりに 港が浮かぶ
星の影消え船は出て行く はるかな沖に
白い砂浜に のこる小舟は
波にゆられて いつかしらずに流れてゆく
ああ ソレンツァラ 光にかがやく
ああ ソレンツァラ 恋の港
今も恋し ソレンツァーラ
▢日本語詞は共に「エンリコ・マシアスの素晴らしい世界」より。
ただ面白いのは、マシアス版の歌詞では 「À Solennzara ソレンツァーラで」と場所を表す
À-à が、日本語詞では「ああ」と感嘆詞になっているのは、翻訳作詞の難しさと言うか、日本語としての流れでの選択と言うか、色々考えさせられる表現ではありますね。
〈 この項続く 〉





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